ヨーロッパ読書メモ

森鴎外と日清・日露戦争

森鷗外と日清・日露戦争末延芳晴 著2008年8月20日 初版第1刷平凡社 発行森鷗外の多様な面の中から、この本では日清・日露戦争従軍時に鷗外が経験したことや、様々な思い、また「うた日記」という戦争詩歌集、そして妻子への愛情や田山花袋との交流などが書…

遥かなる旅への追想 辻邦生 著

遥かなる旅への追想 辻 邦生 著1992年4月20日 発行新潮社 発行「旅への追想から」「歴史の奔流から」「同時代の視線から」「魅惑のパリから」の四章にわたって、紀行文から帯の推薦文まで、長短織り交ぜたエッセイ集となっています。舞台はヨーロッパ全般で…

日本海ものがたり 世界地図からの旅

日本海ものがたり 世界地図からの旅 中野美代子 著 岩波書店 発行 2015年4月22日 第1刷発行 日本海を中心とした、海をめぐる物語を徒然に語っています。 日本人で初めて世界一周した若宮丸の四人 1793年、石巻から江戸を目指した若宮丸 漂流して…

咸臨丸、大海をゆく

咸臨丸、大海をゆく サンフランシスコ航海の真相 橋本進 著 海文堂出版 発行 2010年7月19日 初版発行 安政7年(万延元年・1860年)に出航した咸臨丸の航海における真実を、航海の専門家としての視点から叙述しています。 当時の困難な船旅におけ…

ロシア日記 シベリア鉄道に乗って

ロシア日記 シベリア鉄道に乗って 高山なおみ 著 川原真由美 絵 2016年7月30日 発行 新潮社 発行 武田百合子さんの「犬が星見た」を何度も読んだ著者。 「犬が星見た」は昭和44年6月10日の日記から始まっています。 この本はその42年後、東日…

みんな昔はこどもだった 池内紀 著

みんな昔はこどもだった 池内紀 著 講談社 発行 2018年3月20日 第1刷発行 手塚治虫、林芙美子、宮本常一、柳田国男、澁澤龍彦ら、大きな、個性的な仕事をした十五人の足跡を幼少期を中心にたどっていっています。 手塚治虫版の「ファウスト」 池内さんが小…

支倉常長遣欧使節 もうひとつの遺産

支倉常長遣欧使節 もうひとつの遺産その旅路と日本姓スペイン人たち太田尚樹 著山川出版社 発行2013年8月10日 第1版第1刷発行 支倉使節団の経緯を説明すると共に、その足跡を石巻市からローマまで実際に追った記録と並行しながら綴っています。更にコリア…

第四の大陸 人類と世界地図の二千年史 第三部 新旧世界の融合

第3部 新旧世界の融合第17章 ギムナジウム(学舎)16世紀初めアルザスはドイツ領で、ストラスブールはシュトラースブルクだった。15世紀の最後の10年は書籍取引で活気を帯び、ドイツ最初の人文主義者が現れた。ドイツの人文主義者は、分裂し虐げられ…

第四の大陸 人類と世界地図の二千年史 第2部 新世界

第2部 新世界 第6章 再発見 初期のイタリア人文主義の中心人物 フランチェスコ・ペトラルカ 1304年生まれ 生涯を通じて古典書籍を求め広く旅する。文学的考古学。 古代人が知っていた世界の全体像の把握に努める。 ペトラルカの弟子ジョヴァンニ・ボッカッ…

第四の大陸 人類と世界地図の二千年史 第1部 旧j世界

第四の大陸 人類と世界地図の二千年史 トビー・レスター 著 小林 力 訳 中央公論新社 2015年8月7日 初版発行 1507年、アルザス・ロレーヌにまたがるヴォージュ山地のほとりで作成された「ヴァルトゼーミュラー世界図」 この地図の製作に関わる興味深い…

名画の食卓を読み解く

名画の食卓を読み解く 大原千晴 著 2012年7月20日 初版第1刷 大修館書店 発行 欧州の古い銀器を専門とする骨董商の著者が、欧米の食卓の歴史を、絵画を手掛かりとして伝えた本です。 15世紀 フランス王族の宴 表紙の絵は「ベリー公のいとも豪華な…

ドイツ職人紀行 池内紀 著

ドイツ職人紀行池内紀 著2018年10月10日 初版発行東京堂出版 発行1568年に刊行された、ドイツの古い手職を絵と詩句で紹介した古書「身分と手職の本(日本の訳書の題名は「西洋職人づくし」)」をもとに、池内さんのドイツでの体験記を加えて、ドイツでの様々な…

柳田國男全集 8

柳田國男全集 8 1990年1月30日 第1刷発行ちくま文庫この巻では「口承文芸史考」「昔話と文学」「昔話覚書」を収録しています。いずれも昔話や伝説をもとに、口承文芸を研究しています。口承文芸とは何かはじめて口承文芸(la litérature orale)という名を用…

兵庫県の不思議事典

兵庫県の不思議事典有井基、大国正美、橘川真一 編2007年12月10日 第一刷発行新人物往来社 発行 兵庫県の様々な謎や不思議を考古、歴史、産業・鉄道、街道・舟運、人物、神話・伝説、文学、宗教、民俗・芸能、地理・地質、植物の各編に分けて紹介しています…

語るは涙、聞くは笑いのパリ独り暮らし やまさか爺回想録

語るは涙、聞くは笑いのパリ独り暮らし ーやまさか爺回想録ー やまさかのぼる 著第一法規 発行平成31年2月5日 初版発行やまさかのぼる先生の「脱ミシュラン フランス地域巡り」に続く待望の「双子編」です。フランスに関する、他者の追随を許さない、独自の…

おいでよ、小豆島

おいでよ、小豆島 平野公子と島民のみなさん 著 晶文社 発行 2016年2月5日 初版 日本の地中海と呼ばれる瀬戸内海で二番目に大きな島、小豆島。 そこに住む、Iターン、Uターン、ネイティブからノンネイティブまで、様々な住民の方の経験談やイラストレ…

白米城の伝説について(柳田國男全集 7 より)

白米城の伝説ある山の上の城砦が水攻めにあう。城中では水の乏しいことを隠すために、馬を崖の端に牽き出して白米をもって脚を洗う真似をして見せた。遠くからこれを望んだ寄せ手は欺かれて、水攻めは無益といったん引き揚げて還ろうとしたが、たまたま鳥類…

柳田國男全集 7

柳田國男全集 7 1990年1月30日 第1刷発行 ちくま文庫 この巻では「伝説」「木思石語」「神を助けた話」など伝説というものを中心に考察しています。 伝説と昔話の特徴 ・伝説は人がこれを信じているのに対し、昔話は話に責任を負わない ・伝説の中心には必…

柳田國男全集 6

柳田國男全集 6 1989年12月4日 第1刷発行 ちくま文庫 妖怪談義 妖怪古井 言語と民俗との関係 おばけの声 幻覚の実験 川童の話 川童の渡り 川童祭懐古 盆過ぎメドチ談 小豆洗い 呼名の怪 団三郎の秘密 狐の難産と産婆より 「古い話が新しい衣装を着て、今で…

ひょうごの城めぐり

ひょうごの城めぐり 本岡勇一 著 神戸新聞総合出版センター 2018年11月20日 第1刷発行 世界遺産の姫路城、天空の城の竹田城だけでなく、中世の城や信長・秀吉時代の城、そして江戸の幕末に瀬戸内海沿いに築かれた台場など、各時代の特徴ある城が存…

戦国時代の表と裏

戦国時代の表と裏 渡邊大門 著 2018年8月18日 初版発行 東京堂出版 発行 この本は「戦国時代の合戦と支配」「戦国時代の生活文化」の2部から構成されています。 著者の方の本は以前読んだことがあるのですが、第一史料など、信頼のできる資料を基に歴史…

戦国大名と大航海時代 第4章~

第4章 家康外交の変遷 マニラだけでなくメキシコも視点に入れていた家康。それが伊達政宗による慶長遣欧使節の派遣ともつながってくる。 スペインやポルトガルだけでなく、遅れてやってきたオランダやイギリスとの関係も積極的に模索する家康 布教をを通じ…

戦国日本と大航海時代 第1~3章

戦国日本と大航海時代 秀吉・家康・政宗の外交戦略 平川 新 著 中公新書 2481 2018年4月25日発行 本書では、秀吉・家康・政宗という三人の人物を通して、戦国時代から江戸時代への大転換を外交関係を軸に描き出しています。 世界史の中の日本の働きを通…

料理でわかるヨーロッパ各国気質

料理でわかるヨーロッパ各国気質 片野優 須貝典子 著 実務教育出版 発行 2016年9月25日 初版第1刷発行 「料理でわかるヨーロッパ各国気質」という題の本。このブログにぴったりですね(笑)。 料理を通して、欧州20か国の国民性を診断しようとする試みで…

「菓子」にあたるフランス語表現について(NHKラジオフランス語 11月号 応用編 L9.10)

NHKラジオフランス語 応用編Leçon9,10は「和菓子作りの教室」 (L'atelier de confiserie japonaise)です。 Avoir du mal à... 「~するのに苦労する、~しづらい、~するのが困難である」 un mal de tête 「頭痛」 le mal du pays「ホームシック」 Avoir…

宮本常一 聞書 忘れえぬ歳月 〈西日本編〉

宮本常一 聞書 忘れえぬ歳月 〈西日本編〉 宮本常一 著 田村善次郎 編 八坂書房 発行 2012年1月25日 初版第1刷発行 この本は農林省関係の「農山漁家生活改善技術資料収集調査」というやたら長い題名の報告(笑)のうち高知県土佐清水市、広島県世羅郡世羅町…

最後のソ連世代 ブレジネフからペレストロイカまで 第7章~

第7章 ヴニェの皮肉 ネクロリアリズム、スチョーブ、アネクドート ミチキー 1980年代はじめのレニングラードに現れた芸術家集団 陽気な極楽とんぼの生き方を伝える。 ネクロリアリスト 好んで実験と称する馬鹿騒ぎをする。 スチョーブ 皮肉の一ジャンル。語…

最後のソ連世代 ブレジネフからペレストロイカまで 第5・6章

第5章 想像の西側 後期社会主義のヴニェ空間 ソ連の特異な概念ザクラニーツァ 国境や現実の領土ではなく想像の空間 現実味があるのに抽象的 よく知っているのに手が届かず 日常的でありながらエキゾチック ここでもありあちらでもある空間 ソ連の短波ラジオ…

最後のソ連世代 ブレジネフからペレストロイカまで 第3・4章

第3章 転倒するイデオロギー 規範(エチカ)と詩学(ポエチカ) この章では、イデオロギー形式の踏襲反復がソ連の日常の様々な場面で思いがけない意味や関係、新たなアイデンティティや社会性を生み出していたことを見ていく。 1970年代から80年代はじめに…

最後のソ連世代 ブレジネフからペレストロイカまで(第1・2章)

最後のソ連世代 ブレジネフからペレストロイカまで アレクセイ・ユルチャク 著 半谷史郎 訳 みすず書房 発行 2017年10月18日 発行 この本ではソ連時代の後期、副題の通りブレジネフからペレストロイカまでの期間について、様々な文章をもとに考察しています…