#絵画

名画の食卓を読み解く

名画の食卓を読み解く 大原千晴 著 2012年7月20日 初版第1刷 大修館書店 発行 欧州の古い銀器を専門とする骨董商の著者が、欧米の食卓の歴史を、絵画を手掛かりとして伝えた本です。 15世紀 フランス王族の宴 表紙の絵は「ベリー公のいとも豪華な…

ラファエロ 作品と時代を読む(第3章~)

第3章 激烈なるラファエロ へリオドロスの追放(1511年) 「署名の間」の色彩が明るく穏やかで 明るく澄んだ屋外で 優雅に落ち着いた人物表現なのに対し 「ヘリオドロスの間」は色彩は暗く、深みのある褐色や赤が目立っている。 劇的な夜景や人工的な光…

ラファエロ 作品と時代を読む(~第2章)

ラファエロ 作品と時代を読む 越川倫明・松浦弘明・甲斐教行・深田麻里亜 著 河出書房新社 発行 2017年12月30日 初版発行 本書では画家ラファエロについて、年代順に代表的な作品を、一般の概説書よりもかなり詳しく論じています。 以前ヴァチカンを訪問して…

永遠の画家 佐伯祐三(後半)

1926年(大正15年)28歳4月上旬 佐伯祐三家族は東京下落合のアトリエに帰る 東京で「下落合風景」、大阪で「滞船」の連作 更に積極的にヨーロッパ的風景を求めて、大阪の「肥後橋風景」や東京の「ガード風景」など連作するが、筆を途中で置いた。これらの風景…

永遠の画家 佐伯祐三(前半)

永遠の画家 佐伯祐三 朝日晃 著 講談社 発行 昭和53年9月28日 第1刷発行 画家、佐伯祐三の伝記です。 著者は執筆に当たり「佐伯の芸術と本質的に無関係な興味的部分はむしろさけた。逆にその本質を理解するための事実関係、年譜の訂正にはわたしなりの時間…

レンヌ美術館 ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥールとカイユボットの作品

レンヌ美術館の当時のパンフレットです。 その中央上部でジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥールの作品も紹介しています。 闇の中に幼子キリストが浮かび上がっています。 この作品は印象派の画家カイユボットの作品「ボート漕ぎ」です。 レンヌ美術館での短い滞在…

モネが集めた「秘密の」アートコレクション、パリで初公開

フランス・パリのマルモッタン・モネ美術館で行われた展覧会の報道陣向け内覧会で、ベルト・モリゾの「Julie Manet et sa levrette Laerte」を鑑賞する来館者(2017年9月11日撮影)。 フランス・パリのマルモッタン・モネ美術館で行われた展覧会の報道陣向け…

展示内容にがっかり…来観客がルソー作品を寄付 フランス ラヴァル

【8月30日 AFP】フランス北西部ラバル(Laval)にある美術館「Museum of Naive Art and Singular Arts」に展示される、仏画家アンリ・ルソー(Henri Rousseau)の作品「釣り人のいる風景(Landscape with fisherman)」。 素朴派の作品などを取り扱う同美術…

イタリア・ルネサンスの巨匠たち 2 ジョット

イタリア・ルネサンスの巨匠たち 2 ジョット フィレンツェ絵画の先駆者 ルチアーノ・ベッローシ 著 野村幸弘 訳 東京書籍 ジョット1267?~1337 同時代の詩人ダンテは、「神曲」の中で、ジョットの名声が先輩画家チマブーエを凌駕したと謳った。 ジョットは…

ユトリロ回顧展についてのメモ(姫路市立美術館)

先日ユトリロ回顧展の解説会に行ってきたので、その内容をメモしておきます。 再確認等しておりませんので、内容に誤りがあるかもしれませんがご容赦願います。 ユトリロの父には4人の説がある。 その内、ルノワールが父との説もある。彼の絵であるダンス三…

ユトリロ回顧展(姫路市立美術館)

先日姫路市立美術館で開かれている、「ユトリロ回顧展」に行ってきました。 この日はどんよりと曇って、小雨も降っていました。もしユトリロが姫路城を描いたら、こんな天候時の絵を描いていたに違いありません。 また人物は、この画像のように、後姿で描か…

ビジュアル図解 聖書と名画

ビジュアル図解 聖書と名画 中村明子 著 西東社 発行 2017年1月30日 発行 この本では、旧約聖書と新約聖書それぞれ同じくらいのページ数で、聖書の場面を描いた絵画を紹介しています。 分かりやすい説明で、聖書の内容や、絵画の見所を紹介してくれて…

小磯記念美術館 「パリに生きる パリを描くーM氏秘蔵コレクションによるー」

特別 ギリシャ展を見に行った後、小磯記念美術館での特別展「パリに生きる パリを描くーM氏秘蔵コレクションによるー」を見に行ってきました。 こちらは日本人画家による、パリやその周辺の景色を描いたものです。 こちらは、藤田嗣治の《モンパルナス通り…

北斎の肉筆画と判明 「作者不明」西欧の水彩画風の6枚

オランダのライデン国立民族学博物館所蔵で、長く作者不明とされてきた6枚の絵が、江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎(1760~1849)の肉筆画であることが、同博物館の調査で分かった。西欧の水彩画の技法をまねた、北斎としては異色の絵。親交があったドイツ…

ラファエッロ「聖チェチリアの法悦」(「イタリア紀行」及び「天使とは何か」より)

この絵画は、ラファエッロによる、「聖チェチリアの法悦」(1514年)です。 ゲーテは1786年10月18日、ボローニャにて鑑賞しています。 「イタリア紀行」の中でゲーテは 「われわれに何の関わりもない5人の聖者が相並んでいるが、その存在がいかにも完全であ…

天使とはなにか 中公新書

天使とは何か 岡田温司 著 2016年3月25日 発行 中公新書2369 表紙の帯に出てくる、ラファエッロの「システィーナの聖母」に出てくる、愛らしくもどこかいたずらっぽさそうな有翼の「天使」 正真正銘の天使は、聖母子を取り囲む雲の間から、無数にその顔をの…

ゴッホの「アルルの寝室」に泊まれる

ゴッホの「アルルの寝室」を精密に再現した部屋に泊まれるとのことです。 この絵自体は、ゴッホがやって来る友ゴーギャンを待つ気持ちが投影されているそうです。 二つのイス、二つの枕、二つのドアなどが二人を暗示しているとも言われます。 それなら、この…

レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展

京都文化博物館で開かれている「レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展に行ってきました! 京都へは今まで観光地や他の美術館とか何度も行ったことがあるのですが、この京都文化博物館は初めてです。 タヴォラ・ドーリアの絵に惹かれて今回訪…

ダ・ヴィンチ封印《タヴォラ・ドーリア》の500年 第3章~

アンギアーリの戦い アンギアーリの戦い自体は、実際の戦死者は皆無で、落馬による死者一名だけだった。 当時の傭兵同士の戦いはそのような穏やかなものだった。 絵画での「アンギアーリの戦い」に見られる、圧倒的な迫力とはかなり違う。 チェーザレの創設…

ダ・ヴィンチ封印《タヴォラ・ドーリア》の500年 第2章 壁画と板絵

第2章 壁画と板絵 ダ・ヴィンチを、フィレンツェに呼び戻したマキャヴェッリの目的は? ①軍事土木技師としてフィレンツェの防衛に寄与すること。具体的にはピサ奪還 ②画家としての壁画制作 ③外交官として、フィレンツェの防衛に尽力してもらう フィレンツェ…

ダ・ヴィンチ封印《タヴォラ・ドーリア》の500年(序章より)

ダ・ヴィンチ封印《タヴォラ・ドーリア》の500年 秋山敏郎 著 論創社 発行 2013年9月20日 初版第1刷発行 2011年11月27日、イタリア政府は、一枚の板絵《タヴォナ・ドーリア》が日本の東京富士美術館から寄贈されたと発表した。 このたった一枚の絵画は、一…

名画が愛した女たち(後半 シモネッタ・ヴェスプッチ?とドーニ夫妻)

ピエロ・ディ・コジモによる「シモネッタ ヴェスプッチ」(シャンティイ コンデ美術館) 下部にシモネッタの記銘があるものの、内容については不自然。 ヴィーナスなどの女神ならともかく、当時実在の貴婦人のヌードを描くことは考えられなかった。 また首も…

名画が愛した女たち(前半)

名画が愛した女たち 画家とモデルの物語 木島俊介 著 集英社 2012年1月31日 第1刷発行 中世の伝統の中では、毅然として正面を向いている顔は神であり、キリストの顔であるから、俗人の顔として真正面を向いた顔を表現することは慎まれていた。 横顔は個…

姫路市立美術館のシャガール展

姫路市立美術館の「没後30年 シャガール展 愛と色彩のファンタジー」に行って来ました。 シャガールの展覧会を見に行くのは、ニース、京都駅、そしてこちらとなりました。 赤レンガの美術館の背景に、白い姫路城がよく似合います。 今回のシャガール展の作…

もっと知りたい シャガール 生涯と作品

もっと知りたい シャガール 生涯と作品 木島俊介 著 東京美術 発行 2012年4月25日 初版第1刷発行 シャガールの人生と作品を 故郷ヴィテブスクの日々 旅立ち―パリへ ロシアへの帰還 パリ再び 亡命、ベラの死 愛と幸福の南フランス の各章にわけて解説、紹介…

セザンヌの食卓 いろとりどりの林檎たち

セザンヌの食卓 いろとりどりの林檎たち 林綾野 千足伸行 編・著 講談社 発行 2012年3月28日 第1刷発行 セザンヌの代表的な作品や評論と共に、セザンヌに関係する場所の足跡を訪ねたり、南フランスのシンプルな料理やリンゴのレシピを紹介しています。 パリ…

美術で読み解く聖人伝説

美術で読み解く聖人伝説 秦 剛平 著 ちくま学芸文庫 2013年2月10日 第1刷発行 この本は「黄金伝説」という本をベースにして、マリアとイエスキリスト、十二使徒、聖人・聖女たちが、いかに美術で取り上げられたかを紹介したものです。 文庫版ゆえ、画像自体…

106人の巨匠から西洋美術史を読み解く 画家事典 西洋絵画 編

106人の巨匠から西洋美術史を読み解く 画家事典 西洋絵画 編 田辺幹之助 監修 2014年6月1日 発行 玄光社 発行 レオナルド・ダ・ヴィンチからロイ・リキテンスタインまで、106人の画家について、上手くまとめられています。 やはり最初はダヴィンチになる…

ターナー展より 湖に沈む夕陽

ターナーの生前に公開されなかった作品については、この「湖に沈む夕陽」を含め、何の主題を描いたのか、また何を意図したのか、更には完成した作品とターナー自身がみなしているのか、などなど判断の難しいものがあります。 ひとまず純粋にこの絵を見ると…

ターナー展の講演会メモ

ターナーの作品群を見ると、一人の人物とは思えない。全体像を把握するのが難しい 1775年 質素な理髪店に生まれる 1789年 ロイヤル・アカデミーに入学 歴史画や肖像画が盛んな時期。展覧会で競い合う イングランドの修道院や城などのピクチャレスク…