エラスムス 闘う人文主義者(後半)

ホルバインによるエラスムスの肖像画 第7章 ヴェネツィアの印刷業者 エラスムスは『格言集』刊行を実現するため、予定していたローマ行きを一時中止してヴェネツィアに移り住むようになった もともとヴェネツィアは、十五世紀中葉以来、印刷・出版活動のき…

エラスムス 闘う人文主義者(前半)

エラスムス 闘う人文主義者 表紙 エラスムス 闘う人文主義者 高階秀爾 著 筑摩書房 発行 筑摩選書 0271 2024年1月15日 初版第一刷発行 西洋美術史が専門の著者により、エラスムスの一生を叙述しています。 もともと1970年代初頭に発表された文章で、著者の学…

ダブリンに存在したソ連の残像(アイルランド)

ダブリンのバー「プラウダ」(素手に閉店) ダブリンの街を歩いていたら、画像のような赤色を中心としたファサードで、インパクトの強いソビエト連邦風の店を見つけ、写真に残していました。 店名はプラウダのようです。 プラウダとは新聞の名前で、今もまだ…

フィッツィモンズホテルのバーにて(ダブリン、アイルランド)

アイリッシュミュージシャンたち アイリッシュダンサー フィッツイモンズホテルのパンフレット フィッツイモンズホテルのパンフレット ジェームス・ジョイス・タワーからダブリンに戻り、宿泊先のフィッツィモンズホテルに帰ってきました。 ナイトクラブやバ…

中世に生きる人々

中世に生きる人々 表紙 中世に生きる人々 アイリーン・パウア 著 三好洋子 訳 東京大学出版会 発行 1990年10月5日 第15刷 マルコ・ポーロ以外は中世の平凡な無名の人を扱っています。 著者のアイリーン・パウア(1889-1940)はロンドン大学の経済史の教授で…

望遠鏡以前の天文学 古代からケプラーまで(後半)

第8章 イスラーム世界の天文学 9世紀から15世紀までの間、ムスリムの学者は科学的知識のあらゆる分野において卓越していた。特に天文学と数学への貢献は著しいものだった。 天文学が異なる二つのレベル、 すなわち理論を持たず空に見えるものだけに基づい…

望遠鏡以前の天文学 古代からケプラーまで(前半)

望遠鏡以前の天文学 古代からケプラーまで 表紙 望遠鏡以前の天文学 古代からケプラーまで クリストファー・ウォーカー 編 山本啓二・川和田昌子 訳 恒星社厚生閣 発行 2008年11月5日 初版第1刷発行 肉眼しかなく、器具も不十分な時代でも、一生懸命に天を…

ドイツの家と町並み図鑑

ドイツの家と町並み図鑑 表紙 ドイツの家と町並み図鑑 久保田由希 チカ・キーツマン 著 エクスナレッジ 発行 2022年11月1日 初版第1刷発行 ドイツのきれいな町並みというか家並びを、豊富な写真とわかりやすい説明で楽しく観察できます。 1章 ドイツの家の…

アストロラーベ 光り輝く中世科学の結実

アストロラーベ 光り輝く中世科学の結実 表紙 アストロラーベ 光り輝く中世科学の結実 セブ・フォーク 著 松浦俊輔 訳 柏書房 発行 2023年4月6日第1刷発行 中世のイングランドの修道士の一生を通して、観測や計算用の器具を中心に、中世の科学の成果を丹念…

ダンテ その生涯(後半)

フィレンツェのダンテの家 10 政治 豪族と平民 ダンテが商売をほとんどしなかったのは、勉学に懸命に取り組んだことに加えて、遅くとも30歳前後にはフィレンツェの政治に積極的に参加するようになっていたからである。 ただ、政府のポストはプロの政治家にゆ…

ダンテ その生涯(前半)

ダンテ その生涯 表紙 ダンテ その生涯 アレッサンドロ・バルベーロ 著 鈴木昭裕 訳 亜紀書房 発行 2024年2月3日 第1版第1刷発行 ダンテの謎に満ちた人生を、様々な説を挙げながら、詳しく述べています。 このブログでも紹介している清水廣一郎先生の本を…

柳田国男と民俗の旅

柳田国男と民俗の旅 松本三喜夫 著 吉川弘文館 発行 平成四年九月二十日 第一刷発行 Ⅰ 柳田国男の小さな旅 一 野火止・清戸への旅 野火止は現在の埼玉県新座市、清戸は東京都清瀬市 野火止では次の三つのテーマに話が及んだのでは? ・産業組合の問題 ・土地…

パリ時間旅行 鹿島茂 著 (後半)

マルヴィルの写真集表紙 Ⅲ 写真、スポーツ マルヴィルのパリ 現在のパリの街並みは1853年頃から約20年ほどのあいだに、旧来の街並みを人為的にすべて破壊したうえで、綿密な設計図に基づいて建設されたもの。 カルチェ・ラタンやマレ地区に一部過去の街並み…

パリ時間旅行 鹿島茂 著 (前半)

パリ時間旅行 鹿島茂 著 表紙 パリ時間旅行 鹿島茂 著 筑摩書房 発行 1993年6月1日初版第1刷発行 この本では、パリの中に穿たれた、パサージュ、街灯、あるいは単に光、音、匂いなどというタイム・トンネルを通ってこの時間都市に旅をして、たっぷりと十九…

ジョイス博物館の謎の旗(アイルランド)

ジョイス博物館とマンスター州の旗 マンスター州の旗 最後にジョイス博物館の裏から写真を撮っていました。 よく見ると青い旗がはためいています。 最初はEUの旗かなと思ったのですが、確認するとアイルランドのマンスター州の旗でした。 マンスター州は南…

カラー新版 地名の世界地図

カラー新版 地名の世界地図 表紙 カラー新版 地名の世界地図 21世紀研究会編 文藝春秋 発行 文春新書1269 2020年9月20日 第一刷発行 世界の地名の起源について述べられています。 メモしてもきりが無いので、ひとまず見出しだけでも載せておきます。 序章 外…

サムライ留学生の恋

サムライ留学生の恋 表紙 サムライ留学生の恋 熊田忠雄 著 集英社インターナショナル 発行 2020年7月20日 第1刷発行 本書では明治の初期、ドイツ、イギリス、アメリカに留学し、現地女性と恋に落ちたサムライ経験者、もしくはサムライの血をひく者たち九名…

現代語訳 欧米漫遊雑記

現代語訳 欧米漫遊雑記 表紙 現代語訳 欧米漫遊雑記 鎌田栄吉 著 舘川伸子 訳 博文館新社 発行 2014年3月28日 初版第一刷発行 慶応義塾の鎌田栄吉先生が明治29年(1896年)3月から1年9か月をかけて欧米(トルコ・エジプトも含む)を視察した際の記録・紀行文…

アナバシス キュロス王子の反乱・ギリシャ兵一万の遠征 クセノポン著

アナバシス クセノポン著 表紙 ギリシャ軍一万の道程 アナバシス キュロス王子の反乱・ギリシャ兵一万の遠征 クセノポン 著 松平千秋 訳 筑摩書房 発行 1986年12月20日 初版第5刷発行 ギリシャ人軍が現在のトルコ南部を通ってキュロス王子の反乱に加わり、…

モーツァルトとは何か 池内紀 著

モーツァルトとは何か 池内紀 著 表紙 モーツァルトとは何か 池内紀 著 文藝春秋 発行 1991年12月25日 第一刷 第1章 時代の申し子、時代の頂点 モーツァルトが死んだのは1791年。社会秩序が音を立てて崩れていった時代。フランス革命を準備した総体的な変化…

氷上旅日記 ミュンヘン~パリを歩いて

氷上旅日記 ミュンヘン~パリを歩いて 表紙 氷上旅日記 ミュンヘン パリを歩いて ヴェルナー・ヘルツォーク 著 藤川芳朗 訳 中沢新一 解説 白水社 発行 1993年2月15日 発行 著者が重病になった大切な人を、助けなければならないという思いのため、ミュンヘン…

ジャック・アタリ著 時間の歴史

ジャック・アタリ著 時間の歴史 表紙 時間の歴史 HISTOIRES DU TEMPS ジャック・アタリ 著 蔵持不三也 訳 ちくま学芸文庫 2022年2月10日 第一刷発行 本書において、時間を測るもろもろの道具の歴史、すなわち日時計から現代の実に奇妙な格好をした時計にいた…

柳田「民俗学」への底流 柳田国男と「爐邊叢書」の人々

柳田「民俗学」への底流 柳田国男と「爐邊叢書」の人々 表紙 柳田「民俗学」への底流 柳田国男と「爐邊叢書」の人々 松本三喜夫 著 青弓社 発行 1994年3月30日 第一版第一刷発行 はじめに 本書では柳田と地方の人々をつなぐ接点として「爐邊叢書」を取り上げ…

須賀敦子全集 別巻 対談・鼎談

須賀敦子全集 別巻 対談・鼎談 表紙 須賀敦子全集 別巻 河出書房新社 発行 2001年4月10日 初版発行 須賀敦子さんの対談・鼎談集です。 向井敏:丸谷才一さんは最初の三行で人を惹きつけなければならないと、よく言っているでしょう。 その絶品の一つ。小津次…

ジョイスが滞在していた頃の塔のエピソード(アイルランド)

開館時のジェイムス・ジョイス・タワー ジョイス博物館を出て、外から開館時の写真を撮ります。 日本語パンフレットに掲載されていた、「ジョイスが滞在していた頃のタワー」について転載しておきます。 オリバー・シンジン・ゴガティが住んでいた1904年8月…

歴史読本 民俗学のふるさと 辻川

歴史読本 民俗学のふるさと 辻川 表紙 歴史読本『民俗学のふるさと 辻川』 辻川史編集委員会 編集 辻川区自治会 発行 令和5年(2023年)3月1日 発行 兵庫県神崎郡福崎町の辻川区の自治会によって発行された本です。 自治会でこれほどレベルの高い本を発行で…

天の蛇 ニコライ・ネフスキーの生涯(後半)

大正13年(10年の誤りか?)3月30日、柳田国男の第1回渡欧を記念するために撮影。前列向かって右から柳田国男、ネフスキー、金田一京助。後列左端が折口信夫 第七章 大阪在住時代 一 宮古島民俗の研究 ネフスキーは宮古群島へ1922年と26年、28年と三度にわた…

天の蛇 ニコライ・ネフスキーの生涯(前半)

天の蛇 ニコライ・ネフスキーの生涯(前半) 天の蛇 ニコライ・ネフスキーの生涯 加藤九祚 著 河出書房新社 発行 昭和54年10月15日 5版発行 柳田国男の文章にもよく出てくるロシア人ニコライ・ネフスキーの波乱の人生を叙述した本です。 悲劇的な最期を迎え…

ジェイムス・ジョイス・タワー内博物館に展示されたマティスの挿絵

マティスの挿絵 開館時間の二十分後くらいにやっと、ジョイス博物館の職員が車でやってきました。 待っていたみんながぞろぞろ中に入っていきます。 画像はジェイムス・ジョイスタワー内部で唯一撮った写真です。 あまり上手く撮れていませんが、マティス(…

尖塔に黄金の風見鶏設置 ノートルダム大聖堂 フランス・パリ

風見鶏に遺物を入れるパリ司教 尖塔に持ち上げられる風見鶏 尖塔の上には人影が 尖塔のてっぺんに設置される風見鶏 【AFP=時事】フランス・パリで16日、ノートルダム大聖堂(Notre Dame Cathedral)の新しい尖塔(せんとう)に黄金の風見鶏の像が設置された…