第5章 想像の西側 後期社会主義のヴニェ空間
国境や現実の領土ではなく想像の空間
現実味があるのに抽象的
よく知っているのに手が届かず
日常的でありながらエキゾチック
ここでもありあちらでもある空間
外国のラジオは反ソ宣伝とみなされソ連当局から「電波妨害」されていた、という見方。
しかし一方で、遠くの放送局を聞くことは世界を知る方法であり、教養豊かな個人や国際人の育成を重視する国のレトリックとも合致する。
実際に電波妨害したのは、当局が「反ソ的」とみなした放送局と番組だけ。
オープンリール式のテープレコーダーで広まる西側のジャズやロック
バッハのオルガン曲は、その純ヨーロッパの宗教的な響きの故に、想像の西側の一要素として西側ロックと同じ重みをもっていた。
これは音楽の基礎であり、ここから複雑なシンセサイザーの曲を作り出したのが70年代の数々のロック・バンドだった。p259
70年代・80年代の若者の部屋
(外国タバコはともかく、あとは日本の当時の若者と同じように感じる)
当時の若者を刺激したロック
その多くはアート・ロック、プログレッシブ・ロック、ハード・ロックといった種類
複雑で多彩な音楽。70年代の英国ロックは、大部分がヴニェの想像力を作り出す材料として最適だった。
そして、こうしたバンドの音楽は、後期ソ連の文脈であるものと共鳴した。