ロシア日記 シベリア鉄道に乗って

イメージ 1

ロシア日記 シベリア鉄道に乗って
川原真由美 絵
2016年7月30日 発行
新潮社 発行

武田百合子さんの「犬が星見た」を何度も読んだ著者。
犬が星見た」は昭和44年6月10日の日記から始まっています。
この本はその42年後、東日本大震災の起こった2011年の6月18日から30日までの著者のロシア紀行文です。
百合子さんの時代とは変わっている面も多いため、全く同じルートというわけにもいきません。
ウズベキスタンは別の機会に訪問し、別の本に書いていました。
それでも所々で、「犬が星見た」からの引用もあり、比較できるようになっています。
この本では羽田空港から米子空港、そして境港から船で韓国の東海(トンヘ)を経由してウラジオストクに着いています。
そしてハバロフスクに行き、そこからシベリア鉄道ウラン・ウデへ行き、イルクーツクからバイカル湖畔のリストヴァンカ村に行き、最後イルクーツクから空路で日本に戻るというルートです。
各地でのガイドの人たちやシベリア鉄道で同じ客車になった人々など、さまざまな人たちとの交流も描かれますが、何より著者が料理家ということもあり、食べ物についての叙述が目立ちます。
そして金額もしっかり記録しているのは、百合子さん譲りでしょうね。

ハバロフスクで百合子さんが泊まったセントラルホテル(ツェントラリナヤ)に宿泊する著者。
百合子さんの泊まった226号室を訪ねてみる。
なぜかたまたま鍵も開いており、こっそり中に入る。
もう一度、現地ガイドの人も含めてホテルに許可を取って堂々と入るが、さっきとは違っていた。
空気がかき回されていた。
一度目には百合子さんたちがそこにいた息吹が、本の中にあったそのままに、幽霊みたいに封印されていた。