ヨーロッパ読書メモ

巴里籠城日誌 維新期日本人が見た欧州(~巻の五)

校訂現代語訳 巴里籠城日誌 維新期日本人が見た欧州 渡正元 著 横堀惠一 校訂現代語訳 同時代社 2016年12月8日 初版第1刷発行 1839年生まれの渡正元が実際にパリに滞在して見聞した普仏戦争、その中で特にフランスのパリ籠城時の記録です。当時30代の日本…

イタリア・ルネサンスの巨匠たち 2 ジョット

イタリア・ルネサンスの巨匠たち 2 ジョット フィレンツェ絵画の先駆者 ルチアーノ・ベッローシ 著 野村幸弘 訳 東京書籍 ジョット1267?~1337 同時代の詩人ダンテは、「神曲」の中で、ジョットの名声が先輩画家チマブーエを凌駕したと謳った。 ジョットは…

須賀敦子の手紙 1975-1997年 友人への55通

須賀敦子の手紙 1975-1997年 友人への55通 須賀敦子 著 スマ・コーン ジョエル・コーン 北村良子 編集協力 ㈱ つるとはな 発行 2016年 5月28日 初版第1刷 発行 この本では、親友であったスマ・コーン、ジョエル・コーンの二人にあてた55通の手紙を紹介…

須賀敦子とアッシジと丘の町

須賀敦子とアッシジと丘の町 岡本太郎 文/写真 2003年11月30日 初版発行 河出書房新社 イタリアはウンブリア地方のペルージャやアッシジを、須賀敦子さんの跡をたどりながら、美しい写真とともに綴っていきます。 自分はこの地方には行ったことがないのです…

プロテスタンティズム 中公新書 2423

プロテスタンティズム 深井智朗 著 2017年3月25日 発行 中公新書 2423 今年でルターの宗教改革から500年経ちます。 ルター以前の中世キリスト教社会から現代まで、いわゆるプロテスタントの潮流についてわかりやすくまとめられています。 神聖ローマ…

ビジュアル図解 聖書と名画

ビジュアル図解 聖書と名画 中村明子 著 西東社 発行 2017年1月30日 発行 この本では、旧約聖書と新約聖書それぞれ同じくらいのページ数で、聖書の場面を描いた絵画を紹介しています。 分かりやすい説明で、聖書の内容や、絵画の見所を紹介してくれて…

Fromage ou dessert? チーズ、それともデザート?

NHKのまいにちフランス語、4月からの応用編はインタビューで広がるフランス語の世界の再放送となります。 3月までは、ガストロノミー・フランセーズ 食を語り、愛を語るでした。自分はどちらについてもほとんど語ることはなかったのですが(笑)それで…

パリの住人の日記 Ⅱ 1419-1429

パリの住人の日記 Ⅱ 1419-1429 堀越孝一 訳・校注 2016年10月23日 初版第1刷発行 八坂書房 発行 セーヌの氾濫や通貨の絶え間ない変動、そして戦争や群盗の跋扈、不作や食糧難、宗教的演説に対する熱狂などなど大変な時代の日記です。 こう…

脱ミシュラン フランス地域巡り やまさか爺回想録

脱ミシュラン フランス地域巡り やまさか爺回想録 やまさかのぼる 著 平成29年3月15日 初版発行 第一法規 発行 たまたまフランスに滞在することになったやまさか先生。もともとフランスやフランス語にそんなに詳しくなかったのですが、いろいろ調べなが…

Soliste〔ソリスト〕 おとな女子ヨーロッパひとり歩き

Soliste〔ソリスト〕 おとな女子ヨーロッパひとり歩き 寺田和代 著 2017年1月12日 初版第1刷発行 株式会社 KADOKAWA 発行 最近、仕事を1週間ほど休むチャンスがありました。 せっかくなので、ヨーロッパでも行こう、かと思ったのですが、体調があま…

播磨ものがたり より 家島の浪花節語りについて

播磨ものがたり 池内紀 著 1997年10月3日 第1刷発行 神戸新聞総合出版センター ドイツ文学者として知られている池内さんが、播磨のあちこちの歴史を「バリカン先生」や美術史専攻の女子学生と訪ね歩く、という形式で書いています。 P60 なにがなに…

海に漂う歌ごころ 兵庫の万葉紀行

海に漂う歌ごころ 兵庫の万葉紀行 竹内茂 文 北村泰生 カメラ 1977年11月25日 第1刷 TOWN編集室 万葉集には、当時の飾磨海岸を詠んだ歌が三首ある。 風吹けば 浪か立たむと さもらひに 都太の細江に 浦隠り居り 飾磨江は 漕ぎ過ぎぬらし 天伝ふ 日笠の…

パリの住人の日記Ⅰ 1405-1418

パリの住人の日記Ⅰ 1405-1418 堀越孝一 訳・校注 2013年7月14日 初版第1刷発行 ㈱八坂書房 発行 先ごろ、読売新聞の書評欄で、このⅡ巻を取り扱っており、面白そうに書かれていたので、興味を持って本屋に出かけました。 街で一番大きいと思…

ちいさな城下町 安西水丸 著

ちいさな城下町 安西水丸 著 2016年11月10日 第1刷 文春文庫 自分はフランスのお城はこのブログに書いてあるとおり、そこそこ訪問しているのですが、日本の城下町はそんなに訪問していません。 今後訪問する参考にならないかなあという気持ちもあり、この本…

柳田國男全集 3

柳田國男全集 3 1989年10月31日 第1刷発行 ちくま文庫 この巻では「水曜手帖」というエッセイ集、「北国紀行」という少壮官僚時代の旅行の記録、「五十年前の伊豆旅行」、「瑞西日記」、「ジュネーブの思い出」、そして「菅江真澄」がおさめられて…

ユネスコ「無形文化遺産」 生きている遺産を歩く

ユネスコ「無形文化遺産」 生きている遺産を歩く 国末憲人 著 平凡社 2012年9月12日 初版第1刷 無形文化遺産となりうるものとならないものの違いは? コミュニティの伝統があるかどうか ユネスコの無形文化遺産の条件として ①伝統的だと認証され、味わい深…

柳田國男全集 2 樺太紀行 等

柳田國男全集 2 1989年11月15日 第四刷発行 ちくま文庫 この巻では主に柳田國男の紀行文「雪国の春」「秋風帖」「豆の葉と太陽」「樺太紀行」等を掲載しています。 改めて、柳田の豊富な旅の経験が、彼の民俗学の基礎となっていることを実感します…

世界にかけた七色の帯 フランス柔道の父 川石酒造之助伝 からの読書メモ

1905年10月26日、フランスで「噛みつくこと、眼をつぶすこと、下腹部を傷つけること以外はすべて許される」とのルールで柔術教師のレ=ニエはボクシング教師のデュボワと闘う。 結果はあっけなく終わる。レ=ニエがデュボワを「腕ひしぎ」で押さえ込…

世界にかけた七色の帯 フランス柔道の父 川石酒造之助伝

世界にかけた七色の帯 フランス柔道の父 川石酒造之助伝 吉田郁子 著 駿河台出版社 平成28年10月15日 二版発行 第二次世界大戦前、そして戦後にフランスで柔道を広めた川石酒造之助(1899-1969)について書かれている本である。またそれに伴いフランス…

ラテン語の世界 Ⅳ章 拡大するラテン語

ラテン語の世界 より ラテン語にとってギリシャ語は、基層語でも上層語でもなく、すぐ近くにあって長時間影響を横から与える言語、つまり傍層語、である。 現代においては、傍層語は必ずしも地理的に近縁になくても影響を与えうる。 日本語については、かつ…

ラテン語の世界 Ⅰ~Ⅲ章

ラテン語の世界 ローマが残した無限の遺産 小林 標 著 中公新書 1833 2010年4月15日 6版 ヨーロッパ文化の基層ともいえるラテン語 ラテン語の言語の系統や文法概説、文学者や歴史など、ラテン語に関する様々な面を叙述しています。 ラテン語はインド・ヨー…

通貨の日本史 第二章 三貨制度の形成(戦国~江戸前期)

1543年の鉄砲伝来 1549年のキリスト教宣教師ザビエルの来日 などのヨーロッパの商人や使節の来日 これは銀を求めてのことだった。 ヨーロッパ諸国は中国との貿易通貨として銀を必要とした。 ザビエルが山口で布教を重点的に行ったのは、山口に本拠を…

播磨文学紀行 より 宮本百合子の「播州平野」

白鷺城の濠について人通りのない雨の道を舊(きゅう)城下町へ入って行った。白鷺城は、遠めに見る天守閣の姿が空に浮き立って美しく往復の汽車から眺めて通るひろ子の目にのこった。古い濠の水は青みどろに覆はれていた。濠端の古い柳が、しづかに雨にもま…

播磨文学紀行 より 谷崎潤一郎の「乱菊物語」

播磨文学紀行 より 谷崎潤一郎の「乱菊物語」 昭和5年、面白い小説を目指した潤一郎は「水滸伝」や「三国志」「八犬伝」のような奇想天外なロマンを描こうとする。 2月に家島から室津を克明に歩いて回り、構想を固めたという。 瀬戸内海の島々の美しさと、…

播磨文学紀行 より 田山花袋

播磨文学紀行より 田山花袋 花袋に持つイメージは、明治を代表する自然主義作家であり、代表作は「蒲団」というのが普通で、旅行案内を書いたとは考えにくい。 ところが、本当は生涯を旅で過ごし、旅行をもっとも楽しんだ作家が花袋だったのである。 花袋の…

播磨文学紀行 播磨路の「万葉集」

播磨文学紀行 橘川真一 著 神戸新聞総合出版センター 発行 姫路文庫 5 1996年10月25日 第1刷発行 播磨地方にゆかりのある文学作品を紹介しています。 播磨路の「万葉集」 きらめく古代の海の旅 わたつみの海に出でたる飾磨川絶えむ日にこそ吾が恋…

進化する戦国史 渡邊大門 著

進化する戦国史 渡邊大門 著 洋泉者 発行 2016年4月25日 初版発行 渡邊さんの本は以前にも読ませていただきましたが、常に一次史料を意識しながら歴史の謎を解明する姿に、当たり前とはいえ好感が持てます。 一次史料は同時代に発給された古文書あるいは日記…

通貨の日本史 第一章 銭の登場

通貨の日本史 中公新書 2389 高木久史 著 2016年8月25日 発行 金・銀・銅などの金属が通貨の素材になぜ選ばれてきたか ①耐久性 ②加工性 ③実用性が無い ④ほどほどに希少 日本初の金属通貨というと708年発行の和同開珎、というイメージがあるが、近年、それ…

保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで

保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで 宇野重規 著 中公新書 2378 2016年7月15日 再版 イギリス首相のチャーチルの言葉 「二十歳のときにリベラルでないなら、情熱が足りない。四十歳のときに保守主義者でないなら、思慮が足りない」…

ビール語辞典

ビールにまつわる言葉をイラストと豆知識でごくっと読み解く ビール語辞典 リース恵実 著 瀬尾裕樹子 監修 2016年6月27日 発行 誠文堂新光社 発行 ビールについての専門用語や、それにまつわる地名や人名などの固有名詞を、イラストを挟みながら、五十音順で…