ラテン語の世界 Ⅳ章 拡大するラテン語

ラテン語の世界 より

ラテン語にとってギリシャ語は、基層語でも上層語でもなく、すぐ近くにあって長時間影響を横から与える言語、つまり傍層語、である。
現代においては、傍層語は必ずしも地理的に近縁になくても影響を与えうる。
日本語については、かつては中国語が傍層語であり、今では英語が傍層語である。

ラテン語は大きな資源をなかに秘めているだけではなく、その資源を最大限に再利用可能にさせる性質を内在している。
ラテン語の構造自体が、再利用のための力量を巨大な、あるいは無尽蔵なものにしたということである。
造語力とは接尾辞、接頭辞を用いて、拡大していく派生語を作ることである。

ラテン語を知っていると、イタリア半島を旅するとき、多くの遺跡の文字を読むことができる。
古代の碑文は「ラテン語碑文集大成」により収集され続けている。

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これはローマ近郊の「カエキリア・メッテラの墓碑」です
これには
CAECILIAE
Q・CRETICI・F
METELLAE・CRASSI

と書かれています。
1行目のCAECILIAEと3行目のMETELLAEが繋がって、「カエキリア・メッテラ(に捧ぐ)」の意味
Q・CRETICI・Fは「クイントゥス・クレティクスの(娘)」で、Fはこの場合filia(娘)の省略形、CRASSIは「クラッススの(妻)」に意味
クラッススカエサルポンペイウスとともに三頭政治を敷いたクラッススの息子の一人と目されるが、特に政界で名を馳せた人ではないのに、その妻になぜこのような立派な墓所が用意されたのか、筆者にはわからない、とのこと