フレップ・トリップ
北原白秋 著
岩波文庫 緑48-7
2007年11月16日 第1刷発行
大正14年8月、鉄道省主催の樺太観光団に加わった時の紀行文です。
文体的に実験的な叙述になっています。
揺れ揺れ帆綱よ
海上の饒舌
小樽
挨拶の時、特に発言することも無いので、三遍同一点でぐるぐる廻る白秋さん
おおい、おおい
安別
日露国境の安別訪問。鮮やかな緑の低い丘陵、そのところどころの黒と立ち枯れのうそ寒いとど松、それだけの眺めの下にぽつぽつと家が五、六戸。
パルプ
パルプ工場での木々
(林芙美子の樺太紀行文で、樺太の森の無さを嘆いていたことを思い出した)
真岡
筆者にとっては雅味のない町
多蘭泊
本斗の一夜
樺太横断
西海岸の真岡から、樺太庁の所在地たる豊原まで、二十余里の森林を、蝦夷松、椴松、白樺の原生林を抜けて、自動車で横断する。
途中六回パンクする。
小沼農場
イワンの家
ロシア人の家にどかどか入って、内部を見学する観光団。失礼にもほどがある。
沿海州から北樺太へ、さらに国境を越えて南樺太に行って、どうにかバルチザンの残虐から逃れおおせたものであろうか。
駅でパンを売る少年イワン
(林芙美子が出会ったロシア人(実はポーランド人)のパンと牛乳売りを思い出した)
豊原旧市街
樺太神社
豊原からの消息
木のお扇子
笛
曇り日のオホーツク海
敷香
バルチザン滅落後も北樺太の赤派は極端に不良で、白系の良民に対して脅迫掠奪残虐至らざるなし、ということであった。従って良民は南下して日本領内に亡命した。
海豹島
ハーレムの王
巻末に