プロテスタンティズム 中公新書 2423

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深井智朗 著
2017年3月25日 発行
中公新書 2423

今年でルターの宗教改革から500年経ちます。
ルター以前の中世キリスト教社会から現代まで、いわゆるプロテスタントの潮流についてわかりやすくまとめられています。

神聖ローマ帝国は、絶えずローマ教皇の顔色を伺い、そこに政治的にも宗教的にも拘束されることとなっていた。
このような状況下に、ルターが登場する。
ドイツから見ると、政治の実際がアルプスの山々の向こう側に支配されている状況

1517年の贖宥状批判の狙いは?
あくまで西ヨーロッパのキリスト教であるカトリックのリフォームを目指したものであり、新しい宗派を生み出そうともしていなかった。

宗教改革と呼ばれた運動は、出版・印刷革命によって支えられていた。ルターはその印刷技術による被害者であるとともに受益者でもある。
1517年10月31日付けでマインツのアルブレヒトに送られたことが確認されているあの95ヵ条の提題はなんと14日ほどの間にドイツ全土に伝えられた。
(ヴィッテンベルグ城の扉にハンマーで打ちつけた、と考える研究者は今では殆どいない、とのこと)
「天使自身が飛脚であった」と言われたほどで、当時の人文主義者たちのネットワークを使って瞬く間に広まったと思われる。

批判の真価は実は批判の先に求められる。
批判した対象は壊した後に何を形成できるのか。
ルターと賛同者はそれに悩んでいた。

1555年、アウクスブルグの帝国議会
これにより神聖ローマ帝国内の領主は、自らの領邦の宗教を決定できるようになった。

プロテスタントは、聖書のみが権威があると主張したため、この聖書の解釈で分裂する宗派となった。
カトリックは聖書を解釈する権威を教皇に置いたので、この点で分裂することなく、教皇の解釈するものがいつでも正統的解釈となった。

そしてプロテスタントには、宗教改革と呼ばれた運動の不徹底さを批判する「改革の改革」を主張する人々や教会が登場する。
国家、あるいは一つの政治的支配制度の権力者による宗教市場の独占状態を前提
宗教市場の民営化や自由化を前提
公立の小学校があるのに、あえて私立の小学校を作るような考え方

ドイツやルター派を受け入れたスカンジナビア諸国やリトアニアを除くバルト諸国の国々に見られる。
森鷗外の短編「かのように」でドイツ社会のルター派の姿を読み解いている。

新大陸であるアメリカで発展
アメリカの宗教の市場は、民営化と自由化の中で、伝道と呼ばれる競争を続けている。

小さな政府が重んじられるだけでなく、選挙の仕組みや社会や人生の理想、成功のイメージなど、社会の深層構造としてプロテスタンティズムの価値観に基づいているのでは?
選挙日が火曜日
企業のアカウンタビリティイは神学用語。神の前で自分の人生を説明する責任

日本のプロテスタンティズムは、制度、つまり新体制においてはアメリカに展開したリベラリズムのそれ。だから国家と結びついたり、政治的な保守思想と言うイメージは皆無
しかし思想という頭脳の部分ではドイツの影響を受けている。明治以降の近代化の歴史が深く関係している。