パリの住人の日記Ⅰ 1405-1418

イメージ 1

パリの住人の日記Ⅰ
1405-1418
堀越孝一 訳・校注
2013年7月14日 初版第1刷発行
八坂書房 発行

先ごろ、読売新聞の書評欄で、このⅡ巻を取り扱っており、面白そうに書かれていたので、興味を持って本屋に出かけました。
街で一番大きいと思われる本屋に行くと、ちゃんとこのⅠ巻とⅡ巻が並んでおり、ひとまずはⅠ巻から読まねばと思い買い求めました。
内容は題名の通り、1405年から1418年までの無名なパリの一市民による日記です。
堀越氏はその人を脚注の中では「権兵衛」としていました。「名無しの権兵衛」から取ったようです。
本文の内容より堀越氏の脚注が中心となります。最初読んだときは、なんだ、もうちょっとちゃんと編集したらいいのにな、と思ったのですが、慣れてくると、まあいいか、という心境になってきました。
そして古文書を前にして、こういう風な心持で翻訳しているのか、というのが、門外漢の自分でもなんとなくわかりました。
そこに出てくる人名や文書名を整理してみると

ヴァチカン図書館所蔵の「スウェーデン女王蔵書1923番写本」
これがこの本の基となった。堀越氏はそのマイクロフィルムをヴァチカンから取り寄せ、富士フィルムに影印本を作って貰った。

アレクサンドル・テュテイ
第3共和制の時代、1881年にこの校注本を刊行する。
ただしそれは「ローマ写本」を17世紀に書き写した「パリ写本」を主に参考にしている。
いわゆる「ローマ写本」つまりヴァチカンの写本をどの程度参考にしたかはわからない。

マシオ
いわゆる「権兵衛」さんが書いたであろう本を写本した人。それがヴァチカン写本となった。

コレット・ボーン
第5共和制時代の(P134)の研究家

本文では、百年戦争の合間の、今より小さかったパリや周りの町の混乱が伝わってきます。あたかもパリの街の地層を掘り下げて眺めているようで、独特の感慨があります。
Ⅱ巻では、ジャンヌダルクも登場するそうです。