セザンヌの食卓 いろとりどりの林檎たち

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セザンヌの食卓
いろとりどりの林檎たち
林綾野 千足伸行 編・著
講談社 発行
2012年3月28日 第1刷発行

セザンヌの代表的な作品や評論と共に、セザンヌに関係する場所の足跡を訪ねたり、南フランスのシンプルな料理やリンゴのレシピを紹介しています。

パリでセザンヌが暮らした場所は15ヶ所ほどある。アトリエも加えると20ヶ所くらいになる。パリの地域ごとに幾分雰囲気はかわるが、セザンヌはそれほど気に留めなかったようだ。

セザンヌとリンゴ
もともとセザンヌが学生だった頃、仲間はずれにされていたエミール・ゾラをかばったため、そのお礼にゾラがバスケットにリンゴを入れてセザンヌに進呈した。
友情と好意の証としてのリンゴである。
またセザンヌが親しんだ古代ギリシャ・ローマの古典詩人の牧歌的な作品に、リンゴが性的な、エロチックなニュアンスで歌われていることに注目する。
そこから彼の潜在的な性的関心、抑圧された欲望の現れではないかというメイヤー・シャピロによる説

セザンヌは「わかりにくい」画家である。
ピサロなどは「セザンヌの類まれな真価を理解させるのは難しい」と息子に伝えている。
セザンヌは視力に問題があったのではないかとも言われている。
不器用で不恰好な作品でも、それは長年にわたる苦行に近い探求の結果であった。
セザンヌを「形態の新大陸のクリストファー・コロンブス」と呼ぶ評論家もいる。
そしてピカソマチス、ブラック、ドランをはじめとする画家が、その「新大陸」に踏み入り、豊かな実りをつかんだのである。