ユトリロ回顧展(姫路市立美術館)

イメージ 1

先日姫路市立美術館で開かれている、「ユトリロ回顧展」に行ってきました。
この日はどんよりと曇って、小雨も降っていました。もしユトリロが姫路城を描いたら、こんな天候時の絵を描いていたに違いありません。
また人物は、この画像のように、後姿で描かれているのが多いのもユトリロの特徴です。

イメージ 2

現地で買った図録です。
表紙はモンマルトルのサクレ・クール寺院の写真と絵画になっています。
裏表紙はラパン・アジルの絵画が主となっています。
やはりモンマルトル周辺の絵画がユトリロの真骨頂となっています。ユトリロにより、パリの一面が強く印象付けられたことは疑いも無いことでしょう。それでも他のフランスの地域で描かれた絵画も多数ありました。
図録やネットより、実際に本物の絵を鑑賞するのがいいのは当たり前のことですが、ユトリロの場合、その傾向がより強いように思われます。モチーフ自体は平凡ですが、細かい筆致や微妙な色合いに、ユトリロの複雑な精神状態が深く表現されているように思います。

会場には、ユトリロジャンヌダルクの像を眺めている写真がありました。
ユトリロが生涯本当に愛した女性は、母であるシュザンヌ・ヴァラドンジャンヌダルクだけ、というような説明書きがされていました。
また絵画でも、ドンレミの雪のジャンヌ・ダルクの生家を描いたものや、帯同した戴冠式が行われたランスの大聖堂を描いたものが展示されていました。どういう思い込みだったかまでは不明です。

イメージ 3

この城はアン県のサンベルナール村に建てられているサンベルナール城です。
画像はアン県の旅行案内所のHPからです。
ここにもユトリロは滞在していた時期がありました。
実は自分はこのサンベルナールをさる事情で訪問していたことがありました。このときはリヨンから車で県境を越えて村に着きました。
そのときにこの城も案内してもらったのですが、残念ながらその時の城や風景の記憶も写真もありません。
ただ説明の中でユトリロの名前が出てきたので意外に思い、「ユトリロってあの画家のユトリロですよね」と同行した人に聞き返したことだけははっきりと覚えています。
今回の回顧展ではこの城をユトリロパステルカラーで描いたものと、母のヴァラドンが描いた絵画が展示されています。

その他ユニークだったものとしては、芸術家友の会の夜会のポスターや、レストランのメニューに添えられた絵もありました。今回の回顧展で、ユトリロの様々な面を鑑賞出来たのは幸せなことでした。