シスレーの跡を訪ねて②モレ・シュル・ロワン編

パリ・リヨン駅から郊外電車に乗りモレ・シュル・ロワンに行く。方向は宮殿で有名なフォンテーヌブローと同じである。
森の間を抜け、フォンテーヌブローの駅を通り過ぎ、Moret-Veneux les Sablon駅に着く。ここからてくてく歩きモレ・シュル・ロワンの街を目指す。駅の側は駐車場くらいしかなく寂しい感じだった。
しかし街に近づくと、通りに露天のマーケットが並んでいた。野菜やパン、ワインなどいろいろ売っていた。ひやかしながら歩いていく。
街の入り口に到着する。中世風の門があり、そのそばにシスレーの巨大な絵を飾っている。シスレーで町おこしをしているのだ。以前訪れたセーヌ川沿いのブージバルやピサロ美術館のあるのポントワーズは、簡単な案内・見本の絵こそあれ、ここまで力を入れてなかった。
門の手前にある観光案内所に入る。ここで街の地図をもらう。これにはシスレーが描いた場所が簡単に書いてあった。また、案内所の中には、街周辺で、場所がよくわかり、その絵をカラーで載せている30ページほどの小冊子の見本があった。これは30フランで売っている。買おうと係りの方に聞いたが、あいにく今はない、もう少したてば用意できるから・・・ということで、後でまた寄ってくれと言われた。
当日はどうやらベル・エポックと題した祭りがあり、みんなばたばたしているようだったが、この時点では詳しい事はわからなかった。
門を越え街中に入る。木組みの家など、古い街並みが保存されており歩くのに心地がよい。
ロワン川まで着く。ここから橋を渡り対岸に着く。
まず彼の代表作で、オルセー美術館所蔵の”Pont de Moret”の描かれた場所を探す。橋の側のそれらしき場所には建物があり、近寄れなかった。しかし少し横には、広々とした川岸がある。そこから、聖堂、橋、そしてロワン川の流れが見える。本物の絵とは多少ずれているものの、約100年前(この絵は1893年作)の風景がほぼそのまま残っており感動し、しばしたたずむ。
その後川沿いに北に上がっていき、ついにはロワン運河とロワン川の合流地点まで来てしまった。この辺りまででも、シスレーはたくさん作品を残しているのだ。
地図片手に川沿いの緑の中、芸術散策を行ない、再びモレの橋の側に近づく。
と、橋の上に、遠目で、妙な集団が見えてきた。よく目を凝らしてみると・・・。