
[新訳]フロンティヌス戦術書
古代西洋の兵学を集成したローマ人の覇道
フロンティヌス 著
兵頭二十八 訳
PHP研究所 発行
2013年12月27日 第1版第1刷発行
古代ローマ水道橋について調べる過程でフロンティヌスを知ったのですが、 さらに硬骨の士である氏について知りたくなり、この本を手に取りました。
訳者による解題
本書は、帝政ローマ時代に生きたセクストゥス・ユリウス・フロンティヌス作の、日本ではまだ訳刊されたことがない古典軍事研究書『ストラテーゲマトーン』をハーバード大学出版部刊の「ローブ古典文庫」版のフロンティヌスの刊(初版1925年。1980年にリプリント)を頼りに著者が和訳と注解を試みて、即物的に『[新訳]フロンティヌス戦術書』と題して刊行するものです。
紙幅に制約があるため「第Ⅳ部」(これは後世の人の追加であろうといわれている)は割愛しました。
マキャベリやモンテスキューらも、その近代政治哲学に想到するに先立ち、ローマ時代の史書や軍学書を渉猟していました。その参考書中に『フロンティヌス戦術書』もあることは、注意深い読書人には周知です。しかるに、その和訳書はありませんでした。
フロンティヌスは「コンスル」というローマに特有な軍事行政司令長官の大権を、3度も帯びています。
研究家グンダーマンの推定では、『フロンティヌス戦術書』の第Ⅰ部から第Ⅲ部までは、ドミティアヌス帝(96年に暗殺されている)が83年にゲルマニアへ遠征して「ゲルマニクス」と尊称されるようになってから後、すなわち84年から96年までの間に書かれたのだろう、とのこと。
フロンティヌスは、過去のギリシャ・ローマの歴史家たちが書き残してくれている膨大な数の作戦例と、自らが体験したり見聞している近過去の実例を一つ一つ書き出して、それを
「合戦を始める前の注意」
「合戦開始後、および終了する際の注意」
「城市行為と籠城守備の際の注意」
の3つの「部」に分類。さらにその各部を数章に細分した戦例資料集をまとめました。
『フロンティヌス戦術書』の第Ⅳ部は「偽フロンティヌス」 (その正体は全く謎) が後年に追加したのだろうと考えられています。