はためくエストニアの三色旗

タリンに着き、船着場から外に出る。
海辺を歩くと、廃船があった。なんとなく故郷の瀬戸内海沿いの工業地帯を思い出す。
路線電車の沿線を横切る。やはりここも古めかしい、高床式の電車である。
旧市街の入り口に着く。左手にふとっちょマルガリータと呼ばれる、ずんぐりした建物がある。街を守る、砲搭だった建物である。
石畳の道を抜け、水色の尖塔を持つ聖オレフ教会を目指す。そばに着き、正面の入り口から入ろうとするが開いていない。教会の回りも歩くが入り口はない。礼拝の時以外中に入れないらしい。仕方なく高い尖塔を首が痛くなるほど見上げるにとどめる。
更に歩いていき、ジグザグの階段を上り、展望台に着く。ここから先ほどそばを通った聖オレフ教会の水色の尖塔や、城壁にある緑の木々に囲まれたえんじ色の搭が見える。
展望台から少し入るとお土産屋がある。旧ソ連時代に関するみやげ物がたくさんあるかと思ったが、ほとんどなかった。ソ連時代はなるべく払拭したいのだろう。
山の手にある建物群を訪ねる。まずトームキリク(大聖堂)を見学する。黒い鐘楼、屋根と、白い壁がある。モノトーンで外観は地味である。
次にトーンペア城を眺める。中は議会なので入ることは出来ない。ここは何よりも搭が印象的だ。愛称はのっぽのヘルマンと言うらしい。ずっしりと立つ姿が男性の象徴を思わせる。頂上にはエストニアの旗がはためいている。きれいにはためいているタイミングを見計らいシャッターを押す。こんな旗を見るたび「旗ははたはたはためくばかり」との中原中也の詩の一節を思い出してしまう。
エストニアの旗を愛でた後、振り向くと・・・。(続く)