南仏プロヴァンスの木陰から

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南仏プロヴァンスの木陰から
ピーター・メイル 著
小梨 直 訳
河出書房新社
1993年10月1日 18版発行

プロヴァンスを語る上での今や「定番」である、ピーター・メイル氏の著書。
この「南仏プロヴァンスの木陰から」では、短いエッセイを、まとめたような形式にしており、どこからでも読めるような仕組みになっている。
内容は南仏らしく、謎の売人ムッシュXからトリュフを買う話に始まり、ワインや美食など、プロヴァンスの魅力盛りだくさんである。
勿論、単に出来事を綴っているだけでなく、訳者の方によるあとがきからの表現を借りれば「体に害を及ぼさない程度に笑い茸をたっぷり、そして隠し味には自家製皮肉のこま切れを少々。」という感じで、巧みにプロヴァンスでの生活を綴っている。

この巻の中では、「パヴァロッティと夕食を」というのが一番面白かった。
オランジュの古代劇場で、かのパヴァロッティのコンサートが行われた話。
それだけでも、オペラに全く詳しくない自分でさえ、あの野外のローマ遺跡で、あの巨体を震わせながら・・・ということを想像するだけで面白いのに、更に作者の想像を付け加えて、より滑稽味を上手く出していた。

それにしても、イギリス人のメイル氏が、フランス語を巧みに操り、現地の人といろいろ楽しくコミュニケーションをとっているのは羨ましい限り。
それでも、先日、自分も困った「サ・ヴァ」という一見簡単なフランス語に対し、何ヶ月もいろいろ工夫した、という話を読んでいると、まくまくん以下のフランス語力の自分でも、少しは親しみをもててくる。