世界美味美酒文化雑考

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世界美味美酒文化雑考
冨田勝弘 著
清水書院
1996年7月15日第1刷発行

映像ディレクターとして、世界各国をロケで訪問された著者の、食事と酒の体験記。
成田空港での、ロケの晴れを願う儀式にはじまり、アメリカ、イングランド、ドイツなどの体験談が述べられ、パリのカルヴァドスで終わる。
フランスのプロヴァンス訪問記の中で、自分も最近読んだ、ピーター・メイル氏のことにも触れられていた。
今はメイル氏は他国に引越し、メネルプ村での評判はあまりよくないとのこと。
村民にすれば、自分だけお金を儲け、村はといえば観光客の喧騒と、ごみ、そして車公害だけで、はやく静かな生活に戻りたいと嘆いているらしい。
もちろん別の考えの村人もいるだろうし、メイル氏の言い分もあると思う。また氏の作品で楽しませてもらった者としても、氏を一方的に批判する気にはなれない。
ただ著者の方も書いておられるように、「評判」に左右されずに、実際の生活という「現実」を直視することが、改めて必要なんだなあということを、認識しておきたいと思う。

著者の方が最後に引用しておられた、アーネスト・ヘミングウェイの言葉を載せておきます。

もし、きみが、幸運にも、
青年時代にパリに住んだとすれば、
きみが残りの人生をどこで過ごそうとも、
パリはきみについてまわる

なぜならパリは移動祝祭日だからだ。


自分にとっては、パリ時代といえば、一に生活、二に仕事、三四がなくて五にやっと少しは楽しみもくるのかなあという感じでした。
しかしパリを離れた今となっては、移動祝祭日までとは言えなくても、パリが自分についてまわっていることは、この言葉の通りです。