2008-01-01から1年間の記事一覧

「白夜の旅」 東山魁夷 著

白夜の旅 東山魁夷 著 新潮社 発行 昭和38年5月15日 発行 昭和48年8月30日 11刷 画家として著名な東山魁夷氏による、北欧諸国への、スケッチを兼ねた旅。 ご本人の6行だけのあとがきでは「のんきな旅行記」と書いておられた。 発行日から察する…

イタリア紀行(上) ゲーテ

イタリア紀行(上) ゲーテ 著 相良守峯 訳 岩波文庫 1942年6月1日 第1刷発行 2007年4月5日 第62刷改版発行 「北」のドイツから見れば、彼の南にある「アルカディアの地」イタリア。ゲーテは憧れ、身分を隠してイタリアを旅する。この巻では…

アーティストたちとの秋⑤

アーティストの人たちの空いている時間は大概買い物に行っているようだ。必ずしも、当地のみやげ物というわけではなく、普通のデパートや、衣料品店などで買いだししていたようだ。 「キモノがほしい」と言っていた人もいたようで、それを聞いた日本人関係者…

アーティストたちとの秋④ 昼餐と行方不明のアーティスト

昼食の時間が来たので、一旦会場を後にして、昼食会場に行く。タクシーを何台か呼び、分乗していく。 和風庭園の見える、小奇麗な和食レストランで、アナゴご飯に温かい麺類だったが、みんな抵抗無く食べている。 昔多くの外国人を日本に招待する仕事を手伝…

アーティストたちとの秋③ ファーストコンタクト

そんなこんなでたいした準備もせずに、当日を迎えることとなった。ぼくの受け持ち日は、コンサート自体が始まる前の二日間となっている。 まず一日目の朝、アーティストが滞在しているホテルに向かう。もうすでに5~6人は、前日に来日して、このホテルに泊…

アーティストたちとの秋②

本だけではなく、やっぱり実際に音も聞いてみなければならない、と思い、CDショップに行ってみる。 今回のコンサートの中で、空港送迎に当たっている演奏家の登場する曲と、自分の拙ブログでショパンについて書いたとき、複数の方からおすすめのピアノの演…

アーティストたちとの秋①

この秋、ひょんなことから、クラッシックコンサートの手伝いをすることとなった。 とはいっても、こちらは「海辺のカフカ」のホシノくんのごとく、クラッシックとはまったく無縁の生活をしていた。 しかし今回の経験を通して、やはり「ホシノくん」のごとく…

幻のローマ劇場遺跡(フィエーゾレ)

今までいろいろ訪れた ローマ劇場の遺跡群 最初はリヨン、街を見下ろせる丘の 中腹くらいに位置してた 続いてヴィエンヌ 遺跡を歩き回っただけでなく 真上から半円形を覗き込む アルルで見かけた劇場は 二本の円柱がぽつんと残った いかにも遺跡という風情 …

ヨーロッパ音楽家紀行 天と地のひびき

ヨーロッパ音楽家紀行 天と地のひびき 小塩 節 著 菅井日人 写真 日本キリスト教団出版局 2002年10月1日 初版発行 バッハ、モーツアルト、ベートーベンから、フォーレ、メシアン、ブリテンまで、16人の著名な作曲家が生まれ育った街を訪問し、美し…

フィエーゾレの観光案内所にて

ひとまずぐるりと遺跡の周りを一周し いろいろ見た後だったけど ドゥオモの手前に位置してる 観光案内所に入ってみる しゃべりやすそうな中年の女性 英語でいろいろ説明してくれる 遺跡地区はいつ開くのかと聞くと どこから来たのかと尋ねられ 日本からだと…

ローマ浴場の入り口(フィエーゾレ)

緑の葉っぱの向こうに見える ローマ時代の浴槽跡の どうやら入り口だったような アーチ型した石積みの跡 ここをくぐってみたならば ローマの時代に戻れるような 楽しい幻想が待っていそうな 三つのアーチの石の跡

そこだけ照らされたリハーサル会場にて

アーティストたちは コンサートの会場で リハーサルの真っ最中 少し仕事が空いた時間に 携帯電話のスイッチを切り そおっと重いドアを開け 真っ暗な客席の端に 一人静かに座り込む 弦楽六重奏による チャイコフスキーの作品 びしっと合わせる演奏の間に 笑い…

エトルリア時代の原風景(フィエーゾレ)

エトルリア時代の都市は 防御を最優先するために 丘の上に町を築いたという エトルリアの都市国家に起因する フィエーゾレの原風景が この遺跡本体と 背景の丘陵地に残存する 遺跡に風景を加えて眺めると その時代の人々の生存本能を 時代を超えて追体験でき…

ショパン紀行 あの日ショパンが見た風景

ショパン紀行 あの日ショパンが見た風景 堀内みさ 文 堀内昭彦 写真 東京書籍 2005年12月14日 第1刷発行 近々、通常の業務とは別に、クラッシック音楽についての突発的な仕事を手伝うことになりました。 といっても、クラッシック音楽についてはま…

地味な水槽?の遺跡(フィエーゾレ)

少しだけ場所を移動し 浴場の遺跡を眺めると 水槽らしき跡が 二つぽつんと木立の中 地味な場所には 地味な遺跡が 地味にぽつんとひっそりと

アンリ・ルソーを薦める村上春樹さん

「ひとつ、村上さんでやってみるか」 と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶつける490の質問に果して村上さんはちゃんと答えられるのか? 村上春樹 絵・安西水丸 朝日新聞社 2006年11月30日 第1刷発行 この本は、ホームページを通して、村上春樹…

ラファエッロのラベルの謎

先日、よく行くお酒の量販店で、いつもの通り、安ワインを買いに行きました。 ワインの棚を見てみると、写真のようなラベルの赤ワインがありました。 ごらんの通り、ラファエッロの「アーニョロ・ドーニの像」をラベルに使っているのでした。 キャンティのワ…

ローマ時代の露天風呂を想像・創造(フィエーゾレ)

石を四角く並べてる 遺跡がここにもありました これは浴場の跡なのか あるいは建物の土台だったのか 写真だけではよくわからないが 日本人の感覚からすれば 露天で気持ちよくお湯につかりながら 北に広がるトスカーナの なだらかな山の曲線を ゆったり愛でて…

ローマ浴場の石積み(フィエーゾレ)

遺跡地区の西側から 時計回りに北側に行くが 北辺は高い石垣になっており ニンジャのようによじ登らない限り 遺跡を見ることはできない そのまま東側をかすめ ぐるりと南辺に行くと 木立の合間から とうとうなんとか間近に見えた ローマ浴場の石積みの跡

ギリシャを走り、革命議会を内包しながら走る村上春樹さん

走ることについて 語るときに 僕の語ること 村上春樹 著 文藝春樹 2007年10月15日 第1刷発行 アテネからマラトンまで、ほぼマラソンと同じ距離を、走る村上氏。 ランニングパンツ一丁で、夏のギリシャの暑い中を走り抜ける。 添付の写真で、頬杖を…

遺跡を守る木立と光(フィエーゾレ)

遺跡ゾーンの西側の 少し小高い場所にある 駐車場のあたりから 遺跡の姿を撮ろうとするが 周りに伸びる木立とともに 鋭く輝く朝の光に遮られて 過去の時代の痕跡は 奥ゆかしくも隠れたまう

ローマ神殿跡の石(フィエーゾレ)

外側から 何とか垣間見れた 遺跡の一部 この石の跡は ローマ時代の 神殿の跡だという さらに遡り エトルリア時代にも 同じ所に神殿があったという 時代は変われども 聖なる地としての 価値は変わらない 目には見えない 不可思議な力

「西洋故事物語」の復習

再び、「西洋故事物語」より ギリシャを攻めるペルシャの大群。その総大将クセルクセスは、雲のごとき大群が海峡を渡るのを眺めていたが、ふいに激しく号泣した。そのわけを聞かれると、 「余は人間の生の短さを思って嘆いた。かくも多き軍勢も、百年の後に…

フィエーゾレの謎のおじいさん

フィエーゾレの遺跡の周りを てくてくてくてく歩きながら 少しでも遺跡が見える場所を 涙ぐましく捜し回っています あるやせた白人のおじいさん ここに住んでて散歩中なのか あるいは観光客の一人なのか さっと二度三度ほどすれ違い こいつは何なのかという…

樽の中の哲学者(西洋故事物語より)

西洋故事物語 阿部知二 他編 河出書房 昭和42年7月5日再版発行 この本は、西洋を古代・中世・近世・近代・バイブルの5つにわけ、それぞれの時代の有名なエピソードとか言葉を、1~2ページで説明し、著者の方のちょっとした意見を付け加えている。 今…

ローマ遺跡 入り口の前にて(フィエーゾレ)

薄暗い聖堂を出ると 時間は9時半少し前 フィエーゾレ一番のお目当てだった ローマ遺跡の入り口の前 前に立ってる旅人たちの雰囲気から 嫌な予感を感じてく 表示をしっかり見てみると 今日は入場不可という ありゃありゃこりゃこりゃ残念と 諦めきれないこの…

マキアヴェッリ山荘の思い出

林達夫・回想のイタリア旅行 田之倉稔 著 イタリア書房 発行 2008年6月17日発行 林達夫という、学者の方の、イタリア旅行に随行した方による回想記である。 この学者の方については、不勉強で存じ上げないが、文中から、著者の林氏に対するオマージュ…

灯火に照らされた絵画(フィエーゾレ・ドゥオーモ)

聖堂の正面から 暗闇にひそむ かすかな灯火に 引き寄せられるように 祭壇に近づく 上部に描かれている 天蓋のフレスコ画は ある聖人にちなむ 十の物語を 叙述しているものという 真下に控える 三面の祭壇画の中央に描かれた フィエーゾレの聖母子は ささやか…

フィエーゾレの胎内(ドゥオーモ内部)

ドゥオーモの正面にまわり 扉を通り抜けると 胎内のような暗黒の向こうに かすかに照らされている祭壇 そこには三枚続きの宗教画と 天蓋のフレスコ画が ほのかにぼんやり浮かび上がる その薄明かりの中では 十字架や彫像の影が 踊っているかのような 姿を醸…

夏の光 満ちて パリの時

夏の光 満ちて *パリの時 辻邦生 著 昭和57年4月30日 初版発行 中央公論社 現在の日本において、一般的なパリ像というのは、まだ戦後間もない、あるいは更に遡り、ベル・エポックの時代の物が最優先されているような気がする。 シャンソンなどはその最…