アンリ・ルソーを薦める村上春樹さん

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「ひとつ、村上さんでやってみるか」
と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶつける490の質問に果して村上さんはちゃんと答えられるのか?
村上春樹
絵・安西水丸
朝日新聞社
2006年11月30日 第1刷発行

この本は、ホームページを通して、村上春樹さんが(たまに猫マーロウさんも)読者からの質問のメールを受け付け、その質問および回答を、編集して、本としてまとめたものです。
その中には、まじめなものもあれば、ちょっとふざけた、面白いものもあり、「村上さんやってますね」という感じで、クスクスと笑わせてくれます。
村上本でおなじみの安西水丸さんのイラストおよび四コマ漫画も、ちょうどよく力が抜けて、面白く、イイ感じを出してくれています
小説自体苦手というが、ほとんど初心者である自分にとっては、「遠い太鼓」とともに、村上本の中ではベストにあげられる本です。
村上春樹さんも生まれは関西人なので、つまらないジョークを読むと、意外と「吉本興業電波圏」の影響を受けているのかもしれないと、勝手に推測してしまいます。
その中で、この拙ブログの趣旨に(一応)沿うように、少しでもヨーロッパに関するものを例にあげます。
ある若い女性からの質問で、就職の面接で、「どんな作家が好きか」と聞かれ、「村上春樹です」と答えたら、人事の人に「ふん」と言われた。それはいったい、どういう意味だったのか、というものでした。
それに対し、村上さんの回答は「村上春樹とは言わない方がいい。アンリ・ルソーとでも答えておいてください」でした。
その後、また同じ人からのメールがあり、実際に面接でアンリ・ルソー(「蛇使いの女」の方の)と回答すると、たまたま面接官がこの村上さんのホームページを見ていた人で、理解があり、めでたしめでたし、という内容でした。
それに対し、村上さんの回答は「本当に答えちゃったんですね。それで『なに答えてんだ、この馬鹿女め』などと怒られなくてよかった(冷や汗)」というものでした。
村上さんとしては、最初の質問に対し、冗談で回答したつもりだったのでしょうが、回答を貰った方は、なにせあの村上春樹さんからとのことで、真面目に言うとおりにしてしまったようです。
村上さんの洒落気が出たとはいえ、運が悪ければたいへんだったと思います。
外野の読者からすれば、それはそれで面白いんですが・・・。
それにしても、なぜアンリ・ルソーだったんでしょうか。謎は残りますね。