この秋、ひょんなことから、クラッシックコンサートの手伝いをすることとなった。
とはいっても、こちらは「海辺のカフカ」のホシノくんのごとく、クラッシックとはまったく無縁の生活をしていた。
しかし今回の経験を通して、やはり「ホシノくん」のごとく、クラッシック音楽を勉強してみよう、あるいは楽しんでみよう、という気にさせたのだった。
コンサートの2週間ほど前、簡単な業務説明会が行われた。
ぼくの仕事はとりあえず二日間で、演奏家の随行と空港までの送迎というものだった。
いままでいろいろなパターンの空港送迎や、随行などは経験があるが、いわゆるアーティストと呼ばれる人たちと行動を共にするのは初めてだった。
どのような人種なのかもよくわからない。
楽しみ半分、不安半分というのが正直な気持ちだった。
少しでも、クラッシック音楽について勉強しておこうと、図書館に行き、音楽関係の本棚から探す。
この中から、ひと目表紙やレイアウトが気に入った、ショパンに関する紀行文と、モーツアルトに関する、豊富な絵や写真入りの入門書を借りる。
パラパラと読みふけりながら、二人の天才の美しくもはかない人生に思いを馳せる。
幼少のころから神童とうたわれ、その能力を存分に発揮し、波乱万丈の人生を送る。
ある意味墓場が唯一の安らぎの場所だったかもしれない。
そんな彼らの残した音は今も立派に残る。そして今後も・・・、ただし人類さえ地球上に残っていれば、の話だが。