新古今集 後鳥羽院と定家の時代(前半)

新古今集 後鳥羽院と定家の時代 表紙

新古今集 後鳥羽院と定家の時代

田淵句美子 著

角川学芸出版 発行

角川選書 481

平成22年12月25日 初版発行

 

お名前からして「句」に人生を捧げておられるような著者による、後鳥羽院藤原定家という熱い歌人を中心とした、和歌の黄金期の、映像を描き出しています。

 

第一章 新古今時代の前夜

一 後鳥羽天皇の誕生 新古今時代を作った帝王

 

二 和歌の家の親子 藤原俊成と定家

中世前期においては、宮廷の政治と文学・文化とは、人的にも空間的にも、同心円状にある。

勅撰集は、単なる秀歌のアンソロジーではなく、和歌を用いて、宮廷とその文化の過去・現在・未来を示そうとする集である。

 

三 前衛的試みのさまざま 『六百番歌合』など

建久4年(1193)披講された『六百番歌合』は建久期の九条家歌壇を代表する歌合である

 

四 九条良経の存在 パトロンとして、歌人として

 

第二章 後鳥羽院歌壇始まる

一 黄金時代への扉 後鳥羽院と定家の出会い

和歌の神が、ふと宮廷に舞い降りたのか。和歌の黄金時代である後鳥羽院歌壇は、正治二年(1200)のある日に、不意に始まったといってよい。

 

二 爆発的な歌壇形成 和歌にのめりこむ後鳥羽院

 

三 悲喜こもごもの和歌試 新人登用試験

 

四 上皇天台座主 歌壇の慈円

 

第三章 女性歌人たちの活躍

一 老女房と新人女房と 発掘と円熟

 

二 俊成卿女 権門の妻から専門歌人

俊成卿女は『新古今集』を代表する女房歌人

 

三 宮内卿 夭折した女房歌人

 

四 異端の皇女 式子内親王を把え直す

 

第四章 『新古今和歌集』撰ばれる

一 和歌所を置く 文学空間への変貌

 

二 険阻な山路と祈り 熊野御幸

 

三 勅撰和歌集撰進 上皇親撰の『新古今和歌集

 

第五章 後鳥羽院歌壇の隆盛

一 未曾有の歌合 『千五百番歌合』

 

二 歌合の時代 実力主義専制

 

三 王朝物語の和歌を編む 『物語二百番歌合』など

 

四 俊成の九十賀とその死 巨匠の最期の言葉

 

第六章 『新古今和歌集』の改訂と完成

一 和歌所の小宴 厳しい編纂の合間に

 

二 最初の完成 『新古今和歌集』竟宴(きょうえん)

竟宴とは、宮中で編纂などが終わった後に開かれる祝宴のこと

 

三 徹底的な改訂 良経と定家の役割

 

四 従来説より遡る成立年 『新古今和歌集』の成立

家長本は、『新古今集』を書写した一つにすぎない

新古今和歌集の成立は、これまで推定されていた建保四年から六~七年遡って、承元三年、遅くとも四年に、全体が成立したという可能性が高い