イタリア紀行(上) ゲーテ

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イタリア紀行(上)
ゲーテ 著
良守峯 訳
岩波文庫
1942年6月1日 第1刷発行
2007年4月5日 第62刷改版発行

「北」のドイツから見れば、彼の南にある「アルカディアの地」イタリア。ゲーテは憧れ、身分を隠してイタリアを旅する。この巻では1786年9月から1787年2月までのヴェネチアからラヴェンナなどの街、そして憧れの地ローマまでの行程。

ガルダ湖畔のマルチェジーナで、スパイに間違えられるゲーテ。その地の風光明媚なことにあなた方地元の人は気付かないのか、と説得し、賛同を得、スパイの容疑晴れる。現在、その地にはゲーテの像が建ち、そのエピソードを伝え、名所としての地位を獲得。「ゲーテは最初のこの地について最初のプロモーションをしてくれた」との現代のその町の住人の声。

建築家パラディオの実物に出会った喜び。ヴィチェンチアにある「ラ・ロトンダ」と呼ばれる建物。
四方を巨大な円柱つきの玄関にしているという豪華なつくり。実用としては使用しにくいのだろうが、その贅沢な、ローマ・ギリシャの古代の精神を当時によみがえらせようとした労作。

新教徒であるゲーテが、旧教徒の国イタリアを旅する。ローマにおいて教皇の大掛かりな儀式に違和感を覚える。

満月の夜に照らされるローマの遺跡の美しさ。
「個々の物の姿はすべて光と闇との集団に呑みつくされ、そして最も大きく最も一般的な形像のみが、われわれの眼に映る。」

(旅名人ブックス43 ヴェネチア・北東イタリア 日経BP社を参考にしました)