黒い森の曲がりくねった道(サスバッハヴァルデン)

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ライン河のほとりから
いよいよ入る黒い森
妙に新鮮なドイツ語の標識
自分にとっては見慣れないアルファベットでも
運転手にとっては馴染みの道

バスは坂を登っていく
みんなを迎えてくれるのは
木組みの家にきれいに飾った花、そして花
ここサスバッハヴァルデンは
「花の村」として欧州で賞ももらい
小さい村の名をさりげなく輝かす

バスは山の中腹に泊まる
ふと見上げると、斜面には緑のぶどう畑
夢中になってそのあいだを歩いていく
振り返るとのんびり広がるドイツの青空

アルザスのぶどう畑を歩いた時の、作家須賀敦子の名文
「手入れのゆきとどいたぶどう畑を、ただ美しいと思うだけで通りすぎたあの道を、もういちど歩いたら、あのときには見えなかった大切なものが見つけられるかもしれない。」

整然とした、美しいぶどう畑に過ぎないけれども
その中にひそんでいるかもしれない真実
欧州の真ん中あたりの大地に続く
曲がりくねった道のむこうにある何かから
見つけたい、本当に大切なもの

(「須賀敦子全集第8巻、ノート・未定稿 アルザスの曲がりくねった道」 及び「須賀敦子のフランス」より引用)