夕闇にしずむブロワ城

シャンボール城を見学し終わり、一路トゥールへ戻る。
バス会社のガイドブックには、あとブロワ城のview/vueとあるのだが、もうかなり暗くなってきている。
ロワール河沿いの、ブロワ城の前を通った時、運転手さんがその方面を教えてくれたが、自分にはよくわからなかった。

実は、ロワールの城廻に行く前、ブロワとトゥールはパリから日帰りで行った事があった。
ブロワ着の電車の本数も結構あり、城自体駅からも近く、パリからは一番行きやすいところである。
さて、このブロワ城だが、妙な特徴に気がついた。
普通城は、その全体の代表的な姿があるはずである。
というのも、大体山の上にあるか、庭園の中にあるかで、全体の姿が見やすいからである。
しかし、このブロワ城はそうではない。
一応少し小高いところにあるが、全景が見えるわけではない。
また、周りが広い庭園でもない。
地球の歩き方」などのガイドブックでの写真も、城の一部だけである。
ただここはすぐ前が道になっていたので、写真を撮るのも苦労した思い出がある。
今回のツールドフランスでは、その道を自転車で疾走していたが。

もちろん、それが悪いということではない。
この城は、ゴシック・フラムボワヤント・ルネッサンス・クラッシックなど多様な様式を一度に見ることができる。
また、内部の装飾もバラエティに富んでおり、きれいである。
歴史的いわれのある事件の舞台にもなっている。

夕闇にしずむロワール河畔を、バスは疾走していく。
トゥールに戻る。
日本人三人で、駅前のブラッセリーで食事をとる。
バスでさんざん喋っていたにもかかわらず、ここで初めてお互いの名前を名のった。
このうち一人は、明日ボルドーに行くとのこと。
誘ってくれたが、なんとなく面倒になって断ってしまった。
ボルドー自体、そんなに見るものもないと思ったからだ。
ただ、その後、「Bon Voyage」というフランス映画を見たとき、行っておくべきだったなあ、と後悔してしまった。