イタリア日記(1811) スタンダール著

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イタリア日記(1811)
スタンダール 著
臼田紘 訳
新評論 発行
2016年5月20日 初版第1刷発行

前回、ゲーテのイタリア紀行関連本を取り上げましたが、今回はスタンダールによるイタリア日記です。
これは彼が28歳のときの観光旅行をもとに書かれています。
パリから始まりディジョンなどの街を経てジュネーヴに到着し、ミラノからイタリアに入ってボローニャフィレンツェ、ローマ、ナポリなどを訪問しています。
ゲーテのイタリア紀行では、ご自身の恋愛はほとんど取り上げられていませんが、こちらでは、ミラノにおけるアンジェラとの交際など、恋愛事情も詳しく取り上げられています。  
時代的には1811年はナポレオンが皇帝としてヨーロッパに君臨していた最盛期であり、帝政下フランスの支配していたイタリアを巡っていたため、フランス人であることが、スタンダールの旅をたやすいものにしていたようです。

ディジョンは私によれば、また月並みな表現を使えば、大きな小町だ。平べったい位置、川はなく、ウーシュとかいう名の流れがある。p22

フィレンツェのサンタ・クローチェ教会
マキャヴェリの墓碑に書かれている「どのような称賛もかくも偉大な名前に匹敵しない」
という仰々しいフレーズにケチつけるスタンダールさん
マキャヴェリ」だけでいいのではないか。マキャヴェリといえば一人しかいないことはよく知られている。とのことp99-100

コロッセオはひとつの劇場でしかなかった。。半分以上が廃墟になっていた。私をかつてないくらいに感動させた唯一の建築だ。
これらローマ人は何という人たちだろう!実益以外のものはなく、理由のないものは何もない。
ただ独りでコロッセオの真ん中にいて、小鳥が歌うのを聴いていると、私は涙を抑えられなかった。p121