おとな二人の午後 異邦人対談

おとな二人の午後
五木寛之塩野七生
2000年6月10日 初版第一刷発行
世界文化社

この両氏の対談は、世紀末の、主にローマで行われていた。
塩野先生は最近の「ローマ人の物語 コンプリート・ガイドブック」では、15巻を達成された後の凱旋将軍としての貫禄がにじみ出ていたが、この対談集の時はまだその過程であり、登りつめていくカエサルを思い起こされる、さっそうとした感じであった。
相手が、五木先生だというのもあるのだろう。
五木先生の本で、最初に読んだのは「戒厳令の夜」と自身の貧乏な大学時代を描いた「黄金時代」だった。
戒厳令の夜」で国家権力の恐ろしさ、そして山人(柳田国男で有名)という存在について知らせていただいた。
「黄金時代」は、当時の自分も主人公と同じような年で、経済的にはともかく、精神的に飢えた状態だったため、何度も涙した思い出がある。
またロシアについての対談集は、買って何度も読んでいる。
さらに、いろいろ読んでいるが、さる短編では「ゴーゴーガールとサックス奏者の死闘(笑)」という内容のものがあった。

この対談集のなかでは、ファッションの話しなどもあるが、自分としてはやはりローマ人の物語に関する話しが面白い。
欧州の中世が暗黒だったかどうかという話しがあるが、やはり骨格を調べるとローマ時代のほうがよかったようだ。
またローマ人は農耕民族で、なおかつ魚をよく食べていた。それも平和だったおかげである。
そんなところにも、日本人との共通点が垣間見れる。