ルーブル美術館 ルネサンスの波動

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NHK ルーブル美術館
ルネサンスの波動
フランドル/ドイツ/イタリア/フランス
監修 高階秀爾
昭和61年6月30日 第2刷発行

ラファエロ研究の参考として、表記の本も読む、というか眺めてみた。
昔のNHKの番組を元に、当時編集されたものである。
表紙は、ラファエロの「聖母子と幼児聖ヨハネ(美しき女庭師)」の聖母子の美しいアップである。
もちろん、この作品全体もいうまでもなく傑作である。
聖母だけでなく、幼いキリストや聖ヨハネも生き生きとして可愛らしい。
聖母と彼らの三角形の構図もしっかりしている。
また周辺の景色も美しく描いている。
その他、アテネの学堂などおなじみの作品もあった。
そんな中、ラファエロの作品で、二重肖像のものがあった。
普通ラファエロというと、ひげも生やしていない若々しい姿が描かれている。
アテネの学堂の中や、イタリアのかつてのリラ札でも使われた姿はそうだった。
しかしこの二重肖像では、あごひげと口ひげをはやしたラファエロの姿が見る事が出来る。
晩年、といっても35歳頃だが、の、童顔であるが貫禄もついてきた、ラファエロの姿であった。

それにしても、こうしてフランドルとイタリアの同時期の絵画を見ていると、やはり歴然と違う。
どうしてもフランドルの方は、冷たい感じを受ける。
もちろん、これも好みによりけりで、そちらが好きだという人がいても全然不思議ではない。
12月のブルージュやダムの街や大地に感動した事もある。
しかし絵画としては、やはりラファエロの穏やかな作品がいいなあ、と実感するのであった。