中公新書 ラファエロ ルネサンスの天才芸術家 序章・第1章

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中公新書 ラファエロ 表紙

 

カラー版 ラファエロ

ルネサンスの天才芸術家

深田麻里亜 著

中公新書 2614

2020年10月25日 発行

 

そういえば、昨年2020年で、ラファエロ死去500年だったのですね。

不覚ながら気づきませんでした。

世界的に新型コロナ禍で、様々な関連行事が中止になったようです。

コロナが消え去っていくとともに、ラファエロが再び盛り上がって欲しいです。

 

序章 才能と野心

 

ラファエロの最初の師は、父ジョヴァンニ・サンティとマルケの風景だった」p4

 

ラファエロの出生時の苗字はサンティ(Santi)だが、のちに人文主義的趣向からラテン語風にサンツィオ(Sanzio)と署名するようになる。p6

 

シエナの装飾において、中堅画家が19歳のラファエロに下絵を任せたことは、若年ながら彼がすでに一定の評価を受けていたといえる。p18

 

ローマのラファエロの工房で特徴的なのは、すでに技術を習得した一人前の画家が制作に参加する、いわば共同制作者のチームであった点である。p34

 

16世紀当時、ラファエロの芸術の流布に貢献したのは、ニューメディア、版画だった。p36

 

第1章 聖母子画 

フィレンツェからローマへ、躍進と様式の変化

 

当時のフィレンツェでは、聖母子に幼い洗礼者ヨハネを加えて描くことが人気のテーマになっていた。p51-52

 

ペルジーノやレオナルドの学び模倣していったが、その一方人物のゆったりとした動きや、穏やかな風景模写から、絵画には優しげな美しさがあり、ラファエロ自身の特色を備えていく。p56

 

小椅子の聖母

聖母子画の伝統的な表現から見れば異例な表現

・椅子に座った聖母が首を傾けこちらを見るというポーズが独特

・聖母の衣装がターバンやオリエンタル趣味を施された緑色のストール。同時代的なファッションスタイル。

・こちらを向いた聖母とイエスの眼差しによって、描かれた人物と見る者との間に、親密な対話を生み出す効果がもたらされている。

 

ラファエロの聖母子画は、穏やかで優美な画面がキリスト教徒の敬虔な信仰心に寄り添うものであり、同時に、母子の情愛という普遍的な情感を作品に投影できる。p71