ナポレオンとヴェルサイユについて②

神戸市立博物館の地下の講堂での講演会を聞きに行く。
予定されてた人が変更になっていた。なんでも目の病気で、ドクターストップがかかり、フランスからの渡航が不可能になったため、とのことだった。
といっても、代わりの方も、日本の別の会場で講演される予定だったとのことで、特に支障はなさそうだった。
内容は、ヴェルサイユとナポレオンのかかわりについてだった。
ルイ16世追放後、ヴェルサイユはホテルレストランや、学校、武器工場や美術館などに使用されていた。王政の象徴であるため、共和制ではそこに住むのは難しかったのである。しかし、権力を握ったナポレオンは、そこに住むのに憧れたのである。人間、ひとたび強力な権力を握ると、それをいろいろな形で行使したくなるものなのだ。
1809年の12月、はじめてナポレオンはそこに滞在することが出来たが、この時は離婚後だったため、寂しく過ごさざるを得なかったらしい。
1810年に2度目の妻、マリールイーズと共にトリアノンに住み始めた。
彼は緑色を部屋の装飾に多く使った。それが自分の執務にとって非常に良かったらしい。
風呂には、当時としては珍しく、湯と水が蛇口からでるようになっていた。部下は裏でお湯がさめないように気を使ったんだろうな、とつまらないことを考えてしまった。
また図書室を大切にし、どこからでも行けるようにしていたそうだ。セントヘレナに行くときには、蔵書を持っていくことに失敗した。さぞ無念だったと思う。
ヴェルサイユはどうしても王家の印象が強い。またナポレオンの居所はコンピエーヌやランブイエの方が印象が強かった。
今回、彼とその家族のヴェルサイユとの関わりについて話が聞け、新しい知識を得ることが出来た。

講演が終わり、もう一度展示を見て回る。見終わった後売店で分厚い解説書を買い込み、会場を後にし、冬の神戸の街に出て行った。