「ナポレオンとヴェルサイユ展」を見て(神戸市立美術館)

今日から開かれている、「ナポレオンとヴェルサイユ展 」を見に行く。
場所は神戸市立博物館である。このあたりは旧外国人居留地で、現在でもおしゃれで、雰囲気のいいエリアだ。
12時30分ごろに着き、中に入る。そして地階の講堂前に行き、講演会の入場券をもらう。これも目当てにしていた。
展示は三箇所で、階も別々である。講演会の時間までルートに従って見ていった。
展示してある作品が充実しているのには驚いた。(厳密には同時代に制作されたレプリカもあるようだが)
ダヴィッドの「サン=ベルナール山からアルプスを越えるボナパルト」が見れる。白馬にまたがり、颯爽と進むナポレオンの姿である。
また同じくダヴィッドの「マラの死」。自分にとっては、ブリュッセル・京都に引き続き、神戸でもこの劇的な絵に再開でき嬉しかった。
またグロによる「アルコル橋のボナパルト将軍」やジェラールの「戴冠式の正装の皇帝ナポレオン」などナポレオンの有名な肖像があった。
さらに戴冠式の様々なスケッチや、戦場の様子、失脚後の別れや、パリで彼の遺体を搬送している時の様子もある。彼の栄枯盛衰をしっかり追いかけており、「夏草や~」の俳句を読んだ時の芭蕉のように感動してしまった。
ユニークなものでは、ギリシャ風の花瓶に描かれているナポレオンなんてのもあった。これはアウステルリッツの戦いを、ギリシャ古代風に描いている。もちろんナポレオンが中心で(しかも裸で)出ている。さらに「Veni、Vidi、Vici」(来た、見た、勝った)とも書かれており、カエサルの言葉までパクっている。当時の絶頂の気分と、ギリシャ・ローマ文明に対する憧れがこれほどよく表れた芸術品はないのではなかろうか。
今回、このテーマにあわせた作品をわざわざ日本まで持ってきていただき、関係者の方々の多大なご尽力がしのばれる。
この当時のフランスの文化に、少しでも興味のある方には必見である。自分もたいへん楽しませてもらい、なおかつ勉強になった。
もう少しじっくり見たかったが、講演会の時間が来たので、ひとまず地下の講堂に降りていく。(続く)