庭師が語るヴェルサイユ

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庭師が語るヴェルサイユ
アラン・バラトン 著
原書房 発行
2014年3月20日 第1刷

ヴェルサイユの庭園で30年以上働いてきた庭師が、この庭園についての経験談や過去の歴史まで、詳しく楽しく語っています。

第1章 暴風雨
1999年12月26日の暴風雨により、ヴェルサイユの庭園も甚大な損害を受ける。その対処に奔走し、不思議な体験もする。
この庭園には魔法がかかっている。

ヴェルサイユの地で、最初に狩をしたのはアンリ4世(1553-1610)
すべての王朝の中で、フランス人が一致して認めているのがアンリ4世だけでは?
ド・ゴールやナポレオンでさえこれほどの偉業は成し遂げなかった。この二人には敵対者がおり、少なくとも妬みを抱くものがいるのだが、アンリ4世にはいない。

ルイ14世が財務官フーケのヴォー=ル=ヴィコント城を没収し、終身刑に処したのは、一般には暴君の怒りと解釈されているが、私(著者)はそうでなく、政府が機能していなかったからではないか。

ルイ14世とル・ノートルの友情関係
憶測では、目的のためには手段を選ばないマキャベリズム主義者で野心家、策略家などといわれている。
著者は、二人の間にあったのは共通する愛で、性格的に補完しあっていたと見ている。二人とも言葉が少なく、とてつもない考えの持ち主、一方は専制的で、もう一方は大人しく、化学反応としては完璧だった。

ル・ノートルは、庭師であるならば従僕だ、としてしまった人ではないか。
著者はラ・カンティニを偉大だと思う庭師の一人に挙げる。彼は王の菜園の創設者。
菜園は、庭園の伝統的な機能を意味する。すべての庭は、エデンの園でさえ、住民に食料を与えるのが使命である。そして菜園は官能的な何か、感覚にも知性にも訴えてくる。特に味覚・・・。
(確かにヴィランドリーの庭園にも、大規模な菜園があった)

ヴェルサイユの庭園では、高価な機械よりも、馬を利用した方が似合うのではないか。例えばゴミの収集を馬の引く荷車でするとか・・・。

ヴェルサイユには世界の権力者もよく立ち寄っている。
著者には、エリツィンさんが一番印象に残っている。
早朝、戸口に盛装の男性が一人で座り、朝日をぼんやり眺めている。それがソ連の大統領だった。
その大統領を庭園の散歩に誘い、庭園の好きなものについて話しかける。話は通じなくても、彼はいくらかの平和な時間を体験できた。

ルイ14世の複雑な礼儀作法
この規則を覚えることだけで頭が一杯になり、陰謀は減っていったのではないか。輿の使い方について論じている間、権力に立ち向かう陰謀は考えられない。

2000年6月、暴風雨の後の最初の夏。
ネプチューンの泉を舞台として、モーリス・ベジャールの「水の光」のショーが行われた。
その夜は踊りの持つ神秘的な絶対力にひれ伏していた。

ヴェルサイユの庭園では不思議なことも起こる。
1901年8月10日、二人のイギリス人女性がマリー・アントワネットを見た、という話