2023-01-01から1年間の記事一覧

ニームのメゾン・カレの歴史(「リノベーションからみる西洋建築史」より)

ニームのメゾン・カレ ニームのメゾン・カレ、以前ブログに記事を書いた時、手元の資料にはいろいろな建造時期があり、困惑しました。今読んでいる「リノベーションからみる西洋建築史」p26では、「帝政初期の紀元前20年頃にアグリッパにより建設された神殿…

ピエ・ノワール列伝 人物で知るフランス領北アフリカ引揚者たちの歴史

ピエ・ノワール列伝 表紙 ピエ・ノワール列伝人物で知るフランス領北アフリカ引揚者たちの歴史大嶋えり子 著合同会社パブリブ 発行2018年3月10日 初版第1刷発行この本はピエ・ノワール(pied-noir)と呼ばれる、主にアルジェリアで生まれたフランス人を紹介し…

セルビア紀行 日本人が知らない東欧の親日国

セルビア紀行 日本人が知らない東欧の親日国 表紙 セルビア紀行 日本人が知らない東欧の親日国 丸山純一 著 かまくら春秋社 発行 2022年11月1日 発行 セルビアの大使をされた著者による本です。 セルビアというと、やはり紛争のイメージが強いですが、その悪…

ロシア極東 秘境を歩く 北千島・サハリン・オホーツク

ロシア極東 秘境を歩く 北千島・サハリン・オホーツク 表紙 ロシア極東 秘境を歩く北千島・サハリン・オホーツク相原秀起 著北海道大学出版会 発行2017年1月25日 第2刷発行2013年頃、北千島の最果て、占守(シュムシュ)島やサハリンの北緯50度線の旧国境…

坂本龍一 著「SELDOM-ILLEGAL 時には、違法」

坂本龍一 著「SELDOM-ILLEGAL 時には、違法」表紙 SELDOM-ILLEGAL 時には、違法坂本龍一 著角川書店 発行1989年11月30日 3版発行坂本龍一さんの、80年代末の出来事や関心、そしてそれまでの半生記が述べられた本です。語り書きの体裁で親しみやすく、内容…

坂本龍一「千のナイフ」を「線の無い譜」と勘違いした思い出

坂本龍一「千のナイフ」レコードジャケット 坂本龍一さん、自分はモロYMO世代で、よく聴いてきました。YMO特集のラジオ番組で聴いた、坂本さんソロ時代の「千のナイフ」thousand knives。イントロはホワホワした感じで始まります。今、調べてみると、毛沢東…

ヨーロッパの言語(後半) アントワーヌ・メイエ著

1928年頃のヨーロッパ言語地図 19世紀初頭以降の言語の発展の歴史を支配している特徴は、新しい国語の確立である。民族としての自覚を持つ民族はいずれも、自分たちの文語と自分たちに固有の教養語を求める。p250ヨーロッパ西部ではヨーロッパ東部とは異な…

ヨーロッパの言語(前半) アントワーヌ・メイエ著

ヨーロッパの言語 アントワーヌ・メイエ著 表紙 ヨーロッパの言語アントワーヌ・メイエ 著西山教行 訳岩波文庫 青699-12017年9月15日 第1刷発行著者のアントワーヌ・メイエは社会言語学の先駆者として位置づけられています。本書の原題はLes langues d…

サマルカンドへ ロング・マルシュ 長く歩くⅡ

サマルカンドへ ロング・マルシュ 長く歩くⅡ 表紙 サマルカンドへ ロング・マルシュ 長く歩くⅡベルナール・オリヴィエ 著内藤伸夫 渡辺純 訳藤原書店 発行2016年7月10日 初版第1刷発行62歳のフランス人男性が、2000年にトルコ東端からイランを横断し、トル…

図説 中世ヨーロッパの商人

図説 中世ヨーロッパの商人 表紙 図説 中世ヨーロッパの商人菊池雄太 編著者河出書房新社 発行2022年2月28日初版発行第一章 商人ヴァイキングの時代 初期中世の交易ネットワークゲルマン人の民族移動の時代が終わり、北ヨーロッパでドイツ商人が活躍するまで…

独仏国境の街ケールの教会

ケールの教会 ドイツの国境の街ケールのプロテスタント教会です。以前に紹介した母なるキンツィヒの記念碑と同じくマルクト広場に建てられています。名称はドイツ語なのでよくわからないのですが、Googleマップを見ると福音教会や平和教会という訳になってい…

ヨーロッパ広場紀行 中世・夢空間への旅

ヨーロッパ広場紀行 中世・夢空間への旅 表紙 建築探訪1 ヨーロッパ広場紀行 中世・夢空間の旅安藤直見 著丸善 発行平成9年8月20日 発行はじめに 中世という時代中世とよばれる時代は、西ローマ帝国が崩壊した時から、ルネサンスが始まった15世紀までの…

ヨーロッパ大学都市への旅 学歴文明の夜明け

ヨーロッパ大学都市への旅 学歴文明の夜明け 表紙 ヨーロッパ大学都市への旅学歴文明の夜明け横尾壮英 著リクルート出版部 発行昭和60年10月20日 初版第1刷発行中世のヨーロッパの大学に興味を持ったきっかけは、「大世界史7 中世の光と影」(堀米庸三 著 …

柳田國男の絵葉書 家族にあてた二七〇通

柳田國男の絵葉書 家族にあてた二七〇通 表紙 柳田國男の絵葉書 家族にあてた二七〇通田中正明 編昌文社 発行2005年6月25日 初版柳田國男が旅先から家族にあてた絵葉書の全容です。国内篇は、明治二十三年から昭和二十六年にわたって投函された126葉。国外篇…

ヨーロッパの言語の旅

ヨーロッパの言語の旅 表紙 ヨーロッパの言語の旅下宮忠雄 著近代文藝社 発行1995年4月30日 第1刷第1部 言語と文化ゲルマン民族におけるパンパンの原義は「食物」、ビールの原義が「飲物」であるようにp8アグネーテと人魚アンデルセンが『人魚姫』よりも前…

ウクライナの美しい景色 (「私たちの東欧記」より)

「私たちの東欧記」の中に、美しいウクライナの景色を美しい、夢のような文章で表現した箇所がありましたので、ウクライナに平和が戻る願いを込めて、引用させていただきます。最後はオチがついていて、ちょっと笑ってしまいますが。ウクライナの景色さっき…

私たちの東欧記 ソビエトからブルガリアへ

私たちの東欧記 ソビエトからブルガリアへ 表紙 私たちの東欧記 ソビエトからブルガリアへ藤本ますみ 著日本放送出版協会 発行昭和56年3月20日 第1刷発行35歳で勤めをやめた母と6歳の娘による、舫(もや)い旅を記録した本です。1974年の夏、日本からシベリア…

柳田國男 私の歩んできた道(後半)

五 好尚塔の絵葉書柳田所有の欧州の塔の絵葉書独逸「ケルン」大寺の塔仏蘭西「マルセーユ」の「ノートルダム、ド、ラ、ガルド」同 巴里の「ノートルダム」洪牙利「ブダペスト」の「マチアス」寺英吉利「ウエストミンスター」寺 二枚英吉利「ストラトフォード…

柳田國男 私の歩んできた道(前半)

柳田國男 私の歩んできた道 柳田國男 私の歩んできた道田中正明 編岩田書院 発行2000年(平成12年)10月 第1刷 400部発行柳田國男自身が記したり語ったりした自らの歩みや信条などと、更にはこれまで他者にとって公にされている記録の中から、家族や親族・近…

白い袋の天女牛若丸にゃんこ

白い袋に入ったにゃんこ 白い袋に入ったにゃんこ うちのにゃんこです。 スポーツ用品店の白い商品袋に入ってしまいました。 天女みたいかな? 天女のイラスト うーん、ちょっと違うかな? それじゃ、これでどうだ! 牛若丸のイラスト やっぱり違うかな? 開…

柳田国男「山の人生」の冒頭の事件を赤ペン先生してみる

柳田国男「山の人生」の冒頭の事件について、「柳田国男と事件の記録」(講談社選書メチエ40)をもとに、恐れ多くも、赤ペン先生してみます。なお内容については、柳田が読んでいない『奥美濃よもやま話 三』に書かれた「新四郎さ」のテキストとの差異ではなく…

チェコ語の隙間 東欧のいろんなことばの話

チェコ語の隙間 東欧のいろんなことばの話 表紙 チェコ語の隙間 東欧のいろんなことばの話黒田龍之助 著現代書館 発行2015年2月28日 第1版第1刷発行西スラブ語群(ポーランド語、チェコ語、スロヴァキア語など)と南スラブ語群(スロヴェニア語、クロアチア語…

氷川清話 夢酔独言 勝海舟/勝小吉

氷川清話 夢酔独言 勝海舟/勝小吉 表紙 氷川清話 夢酔独言勝海舟/勝小吉 著川崎宏 編中公クラシックスJ48勝親子によるまさしく独言です。 とにかく親子とも粋な江戸っ子による痛快な弁で、たいへん面白く読めました。勝海舟はホラ吹きらしいですが、自分の知…

柳田國男を読む

柳田國男を読む 表紙 柳田國男を読む千葉徳爾 著東京堂出版 発行1991年6月28日 初版発行とかく世間では難解とか要領を得ぬとか、あるいは結論がないなどと評されている柳田國男の書いたものを、なるべく読みやすく説明してみようという目的の本です。p1柳田…

パリとセーヌ川 中公新書

パリとセーヌ川 中公新書 表紙 パリとセーヌ川小倉孝誠 著中公新書 19472008年5月25日発行本書はパリを中心としながらも、その上流と下流にも目を配りつつ、セーヌ川を舞台に繰り広げられられた生活、習俗、文化を歴史的に跡づけ、ジャーナリスティックな言…

『「笛吹き男」の正体』に関するメモ

『「笛吹き男」の正体』について、少し疑問に思った所がありましたので、一応メモを書き残しておきます。筆者の説によると、東方植民の集団に子供がついていったとのことで、祭りの最中だったので親は気付かなかった、気付いたのは相当時間がたってから、と…

一冊でわかる北欧史

一冊でわかる北欧史 表紙 一冊でわかる北欧史村井誠人・大渓太郎 監修河出書房新社 発行2022年9月30日 初版発行本書では北欧5カ国の歴史を包摂しています。アイスランド、デンマーク、フィンランド、スウェーデンとノルウェーの5カ国に加えて、自治が認め…

「笛吹き男」の正体 東方植民のデモーニッシュな系譜

「笛吹き男」の正体 東方植民のデモーニッシュな系譜 表紙 「笛吹き男」の正体東方植民のデモーニッシュな系譜浜本隆志 著筑摩選書02402022年11月15日 初版第一刷発行はじめに五十年前に阿部謹也が出版した『ハーメルンの笛吹き男 伝説とその世界』突然、130…

柳田国男と短歌 続 森のふくろう

柳田国男と短歌 続 森のふくろう 表紙 柳田国男と短歌来嶋靖生 著河出書房新社 発行平成六年四月五日 初版発行序章 柳田国男の短歌おきなさび飛ばず鳴かざるをちかたの森のふくろふ笑ふらむかもこの歌は『遠野物語』序文の末尾に記されている柳田国男の短歌…

ケールの「母なるキンツィヒ」像の足の甲

ケールの「母なるキンツィヒ」像 最後にこの像を間近から写した画像を掲載します。像はブロンズ(青銅)ではなく、それを覆っている色が示唆するように、鋳鉄でできています。制作者はヒューフィンゲン出身の彫刻家フランツ・クサーヴァー・ライヒ(Franz Xaver…