2023-01-01から1年間の記事一覧

書物の夢、印刷の旅 ルネサンス期出版文化の富と虚栄

書物の夢、印刷の旅 ルネサンス期出版文化の富と虚栄 表紙 ラファエロ作 カスティリオーネの肖像 書物の夢、印刷の旅 ルネサンス期出版文化の富と虚栄 ラウラ・レプリ 著 柱本元彦 訳 青土社 発行 2014年12月10日 第1刷発行 16世紀、印刷術が発明されてか…

エラスムスはブルゴーニュワインがお好き ルネサンスつもる話

エラスムスはブルゴーニュワインがお好き 表紙 エラスムスはブルゴーニュワインがお好き ルネサンスつもる話 宮下志朗 著 白水社 発行 1996年7月10日 発行 温泉でアペリティフを 国境の向こう側 マントヴァの白日夢 聖母に捧げる競馬 シエナのパリオ(十七地…

ギリシャ人ピュテアスの大航海(後半)

ピュテアスの彫像 第五章 プレタニの島 ピュテアスのブリテン島の大きさの数字は正確である。 距離を測る方法は毎日どれくらい航海したかを推計する以外になかった。 潮流と風を計算に入れて、航海時間を導き、航海した距離に北、南などさまざまな点を考慮し…

ギリシャ人ピュテアスの大航海 史上初めて北極へ旅した男(前半)

ギリシャ人ピュテアスの大航海 表紙 ギリシャ人ピュテアスの大航海 史上初めて北極へ旅した男 バリー・カンリフ 著 小林政子 訳 青土社 発行 2023年6月10日 第1刷発行 2300年以上昔、マッサリア(現マルセイユ)のギリシャ人ピュテアスがヨーロッパ大陸を経…

ストラスブール中央駅いまむかし

2000年当時のストラスブール中央駅 現在のストラスブール中央駅 ストラスブール中央駅の今昔です。 一枚目は2000年に撮ったもので、二枚目が現在の姿です。もともとこの駅は1889年、ドイツ帝国時代に建設されました。そして2007年にファサードの前面にガラス…

中世を旅する人びと ヨーロッパ庶民生活点描(後半)

「アルプスの少女ハイジ」のペーター 袋の中身は? Ⅳ 遍歴と定住の交わり 9 牧人・羊飼い 牧人は人類の歴史とともに古い職業であって、エバの産んだ二人の子供の内「アベルは羊飼い、カインは農民となった」 そしてカインがアベルを殺害したのもひとつの象…

中世を旅する人びと ヨーロッパ庶民生活点描(前半)

中世を旅する人びと ヨーロッパ庶民生活点描 表紙 中世を旅する人びと ヨーロッパ庶民生活点描 阿部謹也 著 ちくま学芸文庫 2008年7月10日 第一刷発行 Ⅰ 道・川・橋 1 村の道と街道 道の霊をめぐる信仰や慣行は十字路に最も際立った形で集中していた。十字…

ユトリロ作「シャルトルのギヨーム門」

ユトリロ作「シャルトルのギヨーム門」 ほぼ同じ場所からの写真 上の絵画は、ユトリロによる「シャルトルのギヨーム門」です。1914年に描かれました。 ユトリロは印象派の画家ではないのですが、彼のパリの作品群のように、この本の題名にある「都市風景画」…

コロー作「アヴィニョン、教皇の城(ヴィルヌーヴ・レザヴィニョン)(都市風景画を読む より)

コロー作「アヴィニョン、教皇の城(ヴィルヌーヴ・レザヴィニョン)」1836 この絵画はコロー作「アヴィニョン、教皇の城(ヴィルヌーヴ・レザヴィニョン)です。1836年の作品です。 著者は題名に「ヴィルヌーヴ・レザヴィニョン」とあることから、アヴィニ…

都市風景画を読む 19世紀ヨーロッパ印象派の都市景観

都市風景画を読む 19世紀ヨーロッパ印象派の都市景観 表紙 都市風景画を読む 19世紀ヨーロッパ印象派の都市景観 萩島 哲 著 九州大学出版会 発行 2002年11月25日 初版発行 この本では、都市的風景画の実景の専門的な調査で得られた結果を書き記したものです…

シベリア鉄道 三度目の正直

シベリア鉄道 三度目の正直 表紙 シベリア鉄道 三度目の正直 ロシアは退屈を知らない 中野吉宏 著 2022年12月17日 第1刷発行 17出版 発行 シベリア鉄道に三度乗った著者による紀行文です。 一度目は1982年、大学生の時 二度目は2000年、1週間ほど徹夜し…

図説 中世ヨーロッパの暮らし

図説 中世ヨーロッパの暮らし 表紙 図説 中世ヨーロッパの暮らし 河原温 堀越宏一 著 河出書房新社 発行 2015年2月28日 初版発行 この本の第一部では、まず当時のヨーロッパの人口の大半が暮らしていた農村社会を取り上げています。 農村は十三世紀のうちに…

フランス文化と風景(下)16世紀から現代まで 第Ⅱ部 工業的様式

第Ⅱ部 工業的様式第四章 初期の工業景観工業化の時代に入ってからは、風景が突如として変わり、その規模も昔とは比べ物にならなくなった。それまで最も大規模な建築物は、古代ローマ期の円形闘技場であり、中世の大聖堂であり、近世のヴェルサイユ宮殿くらい…

フランス文化と風景(下)16世紀から現代まで 第Ⅰ部

フランス文化と風景(下)16世紀から現代まで 表紙 フランス文化と風景(下) 16世紀から現代まで ジャン=ロベール・ピット 著 手塚章・高橋伸夫 訳 東洋書林 発行 1998年7月25日 第1刷発行 第Ⅰ部 実用主義の時代(続き) 第一章 ルネサンス時代の「擬古代」…

バルカンの花、コーカサスの虹

バルカンの花、コーカサスの虹 表紙 バルカンの花、コーカサスの虹 蔵前仁一 著 旅行人 発行 2014年6月4日 初版第1刷発行 2009年のルーマニア、2010年のコーカサス、そして2013年のバルカンの訪問記です。 旅慣れた著者なので、旅自体は戸惑いつつもサクサ…

書を置いて、街へ出よう 太田和彦 著

太田和彦 著 書を置いて、街へ出よう 表紙 書を置いて、街へ出よう 太田和彦 著 晶文社 発行 2023年2月10日 初版 居酒屋番組でお馴染みの太田和彦さんの新刊書です。 散歩や舞台鑑賞、そして銀座など、様々な場所を訪問しています。 自分は居酒屋とかにはほ…

フランス文化と風景(上)第Ⅱ部 実用主義の時代

第Ⅱ部 実用主義の時代 第五章 中世初期の大きな変動 うっそうとした森林は、騎馬部隊の襲来に対する有効な備えだった。森林をそうした状態に維持するためには、林間放牧や下草刈り、枝おろし、樹木の伐採などを避けなければならなかった。防御のために保護さ…

フランス文化と風景(上)先史時代から15世紀まで 第Ⅰ部 森林の時代からローマ帝国へ

フランス文化と風景(上)先史時代から15世紀まで 表紙 フランス文化と風景 (上) 先史時代から15世紀まで ジャン=ロベール・ピット 著 高橋伸夫・手塚章 訳 東洋書林 発行 1998年7月25日 第1刷 発行 日本語版読者への序言 現在、歴史的建造物に何か新…

イザベラ・バードと日本の旅

イザベラ・バードと日本の旅 表紙 イザベラ・バードと日本の旅 金坂清則 著 平凡社新書754 2014年10月15日 初版第1刷発行 明治初期に日本を旅したヴィクトリア朝のイギリス女性イザベラ・バード。 彼女の一生と他の探検について、また日本旅行の背景につ…

シベリアのビートルズ イルクーツクで暮らす

シベリアのビートルズ イルクーツクで暮らす 表紙 シベリアのビートルズ イルクーツクで暮らす 多田麻美 著 亜紀書房 発行 2022年11月1日 第1版第1刷発行 はじめに 著者がイルクーツクに暮らし始めた2018年初頭はBBC、ユーロニュース、ドイチェ・ヴェレ、N…

放浪学生プラッターの手記 スイスのルネサンス人

放浪学生プラッターの手記 スイスのルネサンス人 表紙 放浪学生プラッターの手記 スイスのルネサンス人 阿部謹也 訳 平凡社 発行 1985年8月30日 初版第2刷 ルネサンス・宗教改革時のスイス生まれのトマス・プラッター(1507?-1582)の自叙伝です。 題名に…

父との散歩 堀三千 著

父との散歩 堀三千 著 表紙 父との散歩 堀三千 著 人文書院 発行 1980年7月30日初版第2刷発行 柳田国男の三女で、堀一郎と結婚した著者による、柳田国男を中心とした家族の回想録です。 『郷土研究』の最終号は、十四の論文全部が匿名を使った柳田国男の論…

「明月記」をよむ 藤原定家の日常

「明月記を読む」藤原定家の日常 表紙 『明月記』を読む 藤原定家の日常 山中智恵子 著 三一書房 発行 1997年2月28日 第一版第一刷発行 昭和19年、定家と同じく戦火の中、定家が日記を始めた同じ19歳で明月記を読み始めた筆者による明月記解説書です。 はじ…

中谷芙二子《白い風景―原初の地球》霧の彫刻 #47769、姫路市立美術館前庭

中谷芙二子《白い風景―原初の地球》霧の彫刻 #47769、姫路市立美術館前庭 中谷芙二子《白い風景―原初の地球》霧の彫刻 #47769、姫路市立美術館前庭 中谷芙二子《白い風景―原初の地球》霧の彫刻 #47769、姫路市立美術館前庭、2023年5月20日 ©Fujiko Nakaya 2…

中世イタリアの大学生活

中世イタリアの大学生活 表紙 中世イタリアの大学生活 グイド・ザッカニーニ 著 児玉善仁 訳 平凡社 発行 1990年7月13日 初版第1刷発行 原題の直訳は、『十三、十四世紀におけるボローニャ大学の教師と学生の生活』となっています。1924年頃に書かれました…

欧州カフェ紀行

欧州カフェ紀行 表紙 欧州カフェ紀行 カフェの旅で出逢う、珈琲と人生の物語 Aya Kashiwabara 文・写真 飯貝拓海 写真 いろは出版 発行 2021年9月28日 第2刷発行 ローマのアンティコ・カフェ・グレコ 文豪ゲーテが愛したカフェ デミタスの発祥地 深入りの豆…

学問への旅 ヨーロッパ中世

学問への旅 ヨーロッパ中世 表紙 学問への旅 ヨーロッパ中世 木村尚三郎 編 山川出版社 発行 2000年4月30日 1版1刷 発行 序文 1990年の大学定年までの数年間、大学院の学生諸君とゼミでともに読んでいたのは、十四世紀末の著者不詳の史料、『メナジェ・ド・…

気合を入れるにゃんこ

気合を入れるにゃんこ 今日でゴールデンウイークも終わりです。 「ふにゃ、明日からまた気を引き締めて働くのにゃ」

貴族院書記官長 柳田国男

貴族院書記官長 柳田国男 表紙 貴族院書記官長 柳田国男 岡谷公二 著 筑摩書房 発行 1985年7月10日 初版第一刷発行 柳田国男が大正三年から貴族院書記官長に就任してから六年間、辞任までの出来事を追った本です。 一 就任 二 最初の同志たち 柳田にとって、…

リノベーションからみる西洋建築史 歴史の継承と創造性

リノベーションからみる西洋建築史 歴史の継承と創造性 加藤耕一 松本裕 他 著 彰国社 発行 2020年4月20日 第1刷発行 このブログを書くにあたって、ヨーロッパのいろいろな歴史的建造物の歴史を調べていると、どの建物も多くのリノベーションを経てきている…