ムハ(ミュシャ)美術館にて

ヴァーツラフ広場を離れ、近くにあるムハ美術館に行く。
チェコではムハだが、パリでの呼び方ミューシャ(ミュシャ)の方がポピュラーかもしれない。
白い建物の入り口に「MUCHA MUSEUM」とあり、そばに小さいパネルが置かれていた。
内部は細長いが、奥行きはある。
七つのセクションに分かれており、パリでのポスター、パネルやチェコに帰ってからの作品、装飾品や絵画、そして一番奥はビデオコーナーになっている。
一通り見終わった後、入り口のそばが売店になっている。そこで「MUCHA アールヌーヴォーの夜明け」と題した画集があったので買う。TASCHENという出版社が発行している。幸い日本語版があったのでありがたやと買い込む。
恥ずかしながら、パリに住み、ナンシーの美術館を訪れていたにもかかわらず、この画家についてはあまりよく知らなかったので、単にわあ、きれいやな~と思ったくらいだった。
その後改めて画集やNHKの番組などを興味深く見たが、個人的には彼の出世作サラ・ベルナールを描いた一連の作品が一番好きである。特に「ジスモンダ」と「サマリテーヌ」がよい。
サラ・ベルナール自身、確かに美人かもしれないが、面長で、とびきりの美人とはいえないと思う。
それが、ミューシャの腕により、華麗な装飾を伴い、颯爽とした美しい姿を見事に描き出している。彼女大いに喜び、即座にミューシャと契約を結んだのもうなずける話である。
チェコでの作品は、民族的覚醒に目覚めた後のもので、このようなものは、ある程度その思想に共感した上でないと感動できないものかもしれない。
演劇のポスターという、コマーシャルなものの方が、単純に人を惹きつけやすいのだろう。
今の感想はともかく、ムハ美術館を出た時点では、世の中に、また一つ美しいものを見つけて嬉しくなってしまった。
街中から、ヴルタヴァ河方面に向かう。