特別展 古代ギリシャ での墓碑について


特別展 古代ギリシャ を見に、神戸市立博物館に行ってきました。
ここには何度も訪れていますが、神戸三宮駅で降りてしまったせいで、到着するのに少し遠回りしてしまいました。
展覧会は古代ギリシャ世界のはじまりを第1章として、ミノス文明やミュケナイ文明、アルカイック時代やクラシック時代、更には古代オリンピックからマケドニア王国、そして最後にヘレニズムとローマ、となっています。
自分が一番印象に残った作品は

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出品目録には「墓碑」としか書かれていなかったのですが、「クテシレオスの妻 テアノの墓碑」と呼ばれるものです。
目録には前400年頃の作品と書かれていました。
ギリシャの美術(澤柳大五郎 著 岩波新書)では座している方の妻が死者であることは、両人のまなざしと姿勢からほとんど間違いない、と書いてありました。
しかし帰りにちらりと読んだ、展覧会の解説書では二人の墓かもしれない、と書かれていたように思います。
自分が間近で見た限りでは、やはり死者となって視線が虚空をさまよっている妻を、夫が悼んで見守っているように見えました。
このような様式の墓碑は、古代ギリシャの中でも、アッティカの地において、前5世紀半ばから4世紀末までに作られたものだそうです。
ここには前掲書によると「生者と死者との芸術の観念社会、しかしそれは同時により高次の実相界に於ける魂の共在」をあらわしています。
生と死における、独特の感情の表出を実際の作品としてみて、改めて感動しました。
あとこれはレリーフなのですが、そばで見ると顔の左面も少し彫られていました。少しでも立体感を出そうとする彫者の工夫がうかがえます。
(画像は如水会のHPからのものです)