イタリア古寺巡礼 1・2章

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イタリア古寺巡礼
岩波文庫 青144-6
2002年11月15日 第20刷発行
 
1927年末から三ヶ月余にわたり、パリからマルセイユ、ニースなどを経てイタリアに入り、そのあちこちの街について書かれた知的な紀行文。
表題では古寺巡礼となっているが、教会にとどまらず、美術作品や遺跡、更には気候や地形の「風土」まで、和辻の思想に影響を与えた実体験ともいえる内容となっています。
 
フランスからイタリアに入って目に付くことは、山のふもとに平野があるにもかかわらず、農村が山の中腹に位置していること。
その理由として
一つは平地に多いマラリヤの蚊を避けるため
また敵を防ぐため、であった。
マラリヤよりも敵の来襲の方が緊急事であったため、敵を防ぐほうが有力かもしれない。
 
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イタリアには落葉樹よりも常緑樹のほうが多い。
ただ日本と違った点は、樹の形である。特に松や杉の類が著しい。
松の木は整然とした丸い形をしている。
イタリアでは自然のままに伸びた松がその形をしている。
日本では放任している樹は、決してこんな整った形をとらない。
イタリアの自然は、気候が温和で風などが少なく、植物にこういう整った形をおのずと取らせるのであろう。
それに反し日本は荒い風や荒い雨が多く、植物もおのずと不規則な形にならせるのであろう。
(写真は12月末にローマ郊外で撮ったものです)