オルセー美術館展にて⑨寂しがりやのアルルのゴッホ

今回のオルセー美術館展では、ゴッホの作品は2作紹介されている。
ともに舞台はアルルである。
寝室とダンスホールをモチーフとしている。
寝室は、色は多様だが、構図は落ち着いている。
一方ダンスホールの作品では、うねるような人々が印象的だ。

ここアルルで、ゴッホは画家たちのユートピアを夢見た。
今回の展覧会には無いが「黄色い家」でそのユートピアの場所を描いている。
背景には陸橋の上を通る汽車。
以前見たNHKのゴッホ特集で、なかにし礼さんが、この列車にはゴーガンが乗っているのを夢見て描いているのではないか、と言っておられた。そう思うととても切なくなるとも言っておられた。
確かにユートピアを夢見たゴッホの気持ち、そしてその悲劇の結末を知るものにとっては胸が締め付けられるようになる。

アルルを訪れた時、ゴッホが描いた陸橋の下をくぐり、広場を通り旧市街に入った。
帰りはその広場から、駅方面を見つめ、そこにあった粗末なカフェに入ろうかなと思っていた。
その時は「黄色い家」は、もともとそのカフェの前にあったなんて知る由もなかった。
結局、カフェには入らず、駅前で買ったジュースとパンで昼食を済まし、アヴィニオンに戻る。