パリ東駅から東へ

まだフランスが、フランスらしくフランを使っていた年の初夏。
日本では、なぜか「パリ祭」と呼ぶらしいが
革命記念日の日、
私はパリの東駅の中に立っていた。
アメリ」の映画そのままの、
東駅の、がらんとした、構内。
そこを抜けて、プラットフォームに出る。
まだこの頃はフランスの電車のシステムにも
よく慣れていなかった。
掲示板をよく見て、
ストラスブール行きの列車のレーンを探す。
駅に早めに着いたので
さすがにまだ列車はそこにはない。
荷物を注意深く守るように、
座って待つ。
まもなくそれらしき列車が来る。
チケットと列車を何度も何度も見比べながら、
目的の客車を探す。
見つけた客車にどっこらしょと上がり、
席の番号を見つけ、
吸い込まれるように座り込む。