アルザス行きの特急

フランス中を走り回っているTGV。
パリ~ストラスブール間には、まだそれがない。
よくわからないけれども、
アルザス地方へ続く道、またパリへ向う道への
心の傷が竣工を遅らせたのだろうか。

しかたなく自分は特急に乗っていた。
4時間かけて、東へ真っ直ぐ。
ぼおーとフランスの限りない大地を見つめる。

同乗したのは、子供たちの一群。
きゃっきゃきゃっきゃ騒いでいる。席が端っこでよかった。
引率しているのは、若い、美しい男女二人。
先生か、ボランティアかよくわからない。
二人とも、夏らしい、白いTシャツとジーンズがよく似合う。
女の引率者、ショートカットのヘアスタイルがこれまたよく似合う。
二人はなにやら打ち合わせをし、女の方は少し離れた席に戻っていった。
若い男は子供たちと喋っている。
映画の話。
X-menを、
英語らしく「エックスメェーン」と発音する引率者の声が聞こえる。
特急はさらに東へ。