トスカーナへの長い石畳
要塞の上で フィレンツェの橙色の街並みから 目を転じると 冬にもかかわらず そこは緑色の世界 数々の宝物を有するフィレンツェの街を あえて隠すかのように 緩やかな丘の間に 深い緑が生い茂る 旅人たちで賑わう 街の中の喧騒を 静かになだめているような …
要塞らしく 兵士を配備できるよう ほとんどのスペースには 何も無いけれど 要塞の真ん中の 一番高い場所に ぽつんと建っていた 一軒の館 メディチ最後の名君といわれる フェルディナンド1世が 建築や彫刻も メディチ王朝の栄光のためとみなし このサンジョ…
サン・ジョルジョの坂を登りきり 達したベルヴェデーレ要塞 もともとはピッテイ宮の防御のために 16世紀末 トスカーナ大公フェルナンド1世が造らせた 今は館の周りを 低い城壁が囲むだけ そこから望むフィレンツェの街 ここからでもやっぱりよく見える 花…
マキアヴェッリの家を離れ サンタ・フェリチタ教会の所から サン・ジョルジョの急勾配の坂を えっちらおっちら登っていく 石畳の道の脇には 普通の家並もあり フィレンツェ市民の 日常の暮らしが漂う中見つけた いにしえの教会 パネルの説明では 結構歴史の…
一応かのマキアヴェッリの 生家だった場所といえ 史蹟といえども名ばかりで パネルが少しあるばかり そんな所をパシパシと 写真を撮ってる東洋人 ちょっと怪しく見られても 仕方なかったかもしれない そこに出でたる白人女性 見かけは同じ旅人風 何を撮って…
右手の入り口を真っ直ぐ進むと 通路のような薄暗い場所 突き当たりの左側には 工芸品を扱っているようなお店 その手前の梁をよく見ると なにやらプレートがある イタリア語はわからないけれども マキアヴェッリの文字や 1944の年号などで どうやらマキア…
ピッティ宮を出て グイッチャルディーニ通りに出て 目指す所は18番地 というのも そこはマキアヴェッリの家があった所 番地のプレートを注意深く見て 大体の所を探す そうすると上にプレートがあり 他の言葉は全然読めなくても とりあえずマキアヴェッリの…
ピッテイ宮の窓から ボーボリ庭園が見える 噴水の向こうには 円形劇場と呼ばれる 緩い登り斜面が広がり 階段を上りきったところにある彫刻は 豊饒の像と呼ばれるらしい 日本に帰ってきてから 宇多田ヒカルさんの「ぼくはくま」の主人公 まくまくんのミニシア…
美しい装飾の部屋にある ラファエロらの作品に陶然とした後 いわゆる君主の居室に入る 歴代のトスカーナ大公らが 住まいとした所 あまりの豪華さに 出るのはため息ばかり 改めて感じるフィレンツェの底力 チケット売り場の連中が 偉そうになるのもうなずける…
16世紀初頭のある日のフィレンツェにて、成功した商人アニョロ・ドーニが妻、マッダレーナ・ドーニに相談を持ちかける。 マッダレーナ「あなた、その嬉しそうな顔は何。また新しい芸術作品でも見つけたの?」 アニョロ「いや、常々考えていたことなんだが…
天使は舞う 聖母子と 聖人たちを 祝福するため 天使は翔ぶ ラファエロの 芸術家としての成功を 予言するため 天使は告げる 神に選ばれしラフェエロが 天に召されし後 華やかなルネサンスが終焉することを
あまりにも穏やかで 美しい表情の聖母マリア 彼女のどこまでも澄んだ瞳が 限りない安らぎを我々に与える 優しい御手で 抱かれる幼きイエスキリスト 左手は聖母の胸に触れ 眼は遠くをじっと見つめる 人々の全ての罪を背負って 生れてきたその身の重さ 幼子の…
ヴェッキオ宮を出て ヴェッキオ橋を渡り グイッチャルディーニ通りを歩き ピッティ宮の前に出る 広場を登っていき まずはチケット売り場へ 三人の売り子がおり 右端の男性の売り場へ行くが 自分の番が来た所 さっとクローズの札を出されてしまう 仕方なく隣…
百合の間から見た マキアヴェッリの「いにしえの書記局」 今はがらんとした雰囲気だが その昔フィレンツェが都市国家 あるいは首都だった時は ここにイタリアの小国から ヴェネチア・ナポリ・ミラノなどのライバル国まで そして教皇有するローマの情勢 さら…
マキアヴェッリの執務室であった アンティーカ・カンチェレリア(いにしえの書記局)の中にある もう一人のマキアヴェッリ この胸像の表情は どことなくしょぼくれた面影 この部屋やトスカーナ周辺で いきいきと仕事をこなしていたのに 政変に巻き込まれ 反…
塩野七生先生のように 「わが友」と呼べるほど偉くなく イタリア流に 「わがマエストロ」と呼べるほど 思想を理解しているわけでもなく かといって関西流に 「わがオッサン」と呼ぶには あまりにも失礼すぎるため とりあえず 「フィレンツェのわがおじさん」…
ひろーい五百人広間から 階段をのぼり 他の小さな部屋を見て回る 五百人広間が フィレンツェの顔だとしたら 他の小さな部屋部屋は もともと執務や接見の場として使われ フィレンツェの頭脳であり 心臓だった所 その中で 壁一面に金色の百合の柄が描かれてい…
切符売り場から 階段を登り 五百人広間に達する 広い広間に 数々の彫像 そして天井には ヴァザーリによる トスカーナ公国の支配者としての コジモ一世を礼讃する 天井画が描かれている 正面の窓からは 強い光が差し込み 広間全体を おぼろげに照らしだす ピ…
ウッフィツィ美術館を出て 一旦ヴェッキオ宮の裏手に回り 小さなバールでアイスティを買う ピーチ味のアイスティ ヨーロッパにアイスコーヒーは無いけれども アイスティはあるんだなと 今更ながら気づく そしていよいよヴェッキオ宮へ まずはダヴィデ像のそ…
ウッフィツィ美術館のテラスから 何気なく撮った一葉の風景 中途半端にフィレンツェの上半身が見える どうしてこんな写真を撮ったんだろう その理由は 曇り空からほんの少し覗いた フィレンツェの青空と その下にある 近くて遠い トスカーナのなだらかな 丘…
ウッフィツィとの名称は 英語でオフィスという意味で 最初は行政機関として 1560年に建設された 内部の廊下は 古い田舎の校舎のよう それでもここには ローマ皇帝の彫像や 偉人たちの肖像があり イタリアの歴史の重みが 両側から迫ってくる 南へは アル…
いよいよウッフィツィの内部を進む 多人数の日本人グループのそばを 近寄ったり離れたりして ガイドさんの説明も少しは耳に入れながら 名画の数々を鑑賞していく 従来の聖母子像から 少し堅さが取れてきた時代の ジョットが描く聖母子像 華やかで官能的な ボ…
メディチ家礼拝堂から ドゥオーモのそばを通り 再びシニョーリア広場へ そして第二の目的地 ウッフィツィ美術館へ到着する 素人ぽく 前もって旅行会社を通して 予約しておいた もっと安く予約する手段もあったようだが 元日の翌日という事もあり 安全な手段…
メディチ家礼拝堂の入り口から まずは君主の礼拝堂へ 大理石で覆われた 意外に天井が高い場所 都市国家だったフィレンツェが トスカーナという面を支配するため 絶対君主となった コジモ1世から 6代にわたる メディチ家出身の 大公を祀るのにふさわしい 豪…
メディチ礼拝堂の内部に入る 受付の、妙に貫禄のある聖職のおじさん お釣りにたくさんコインを出すのを渋る あと1ユーロないかと言われ 財布のコインを探すけれども 残念ながら無く おじさん嫌々チケットを売ってくれる カッコつけて朝に 枕銭などしなけれ…
フィレンツェ二日目の朝 空はどんより雨模様 それでも今日は休み明け 働く人も増えたよう 朝の通りを歩いていると 「コンニチワ!」と声をかけてくる 露天商の若い男 やっぱり自分はどこから見ても コテコテの日本人 サン・ロレンツォ教会をぐるりと回る そ…
薄暗い花の聖母寺の内部から外に出る するとフィレンツェは もう早い冬の夕方 夕陽が、ファサードとドゥオーモ、 そして鐘楼を橙色に染め上げる 「初めてのフィレンツェの一日、お疲れさん」 という風に 建ち並んだそれぞれの形状の建物が 慰めの言葉をかけ…
せっかく中に入れても 残念ながら 主祭壇までは行けなかった それでもちらりと見える クーポラの下の 「最後の審判」 描いた人は あのヴァザーリ かの「芸術家列伝」で ルネサンスの芸術家たちの 生き生きとした姿を 後世に伝え 芸術家たちの審判のように 貴…
正月のフィレンツェの石畳 多くの館は休館日 すっかり疲れた両の足 再び花の聖母寺のそばを通ります 正面にはなぜか人だかり おやおやひょっとしたら 中に入れるかもしれないと いちおう荷物に気をつけながら 群衆の中に身を投じます しばらくして開門 みん…
でんと控える 石積みの建物と がっしりとした入り口 その上には優雅な窓 これがかの ジュリアーノとロレンツォの メヂッチ家の兄弟を襲った事件で有名な パッツィ家の建物 街の権力を握られ 恨みに思ったパッツィ家が 花の聖母寺で ジュリアーノを抹殺する …