トスカーナへの長い石畳

灯火に照らされた絵画(フィエーゾレ・ドゥオーモ)

聖堂の正面から 暗闇にひそむ かすかな灯火に 引き寄せられるように 祭壇に近づく 上部に描かれている 天蓋のフレスコ画は ある聖人にちなむ 十の物語を 叙述しているものという 真下に控える 三面の祭壇画の中央に描かれた フィエーゾレの聖母子は ささやか…

フィエーゾレの胎内(ドゥオーモ内部)

ドゥオーモの正面にまわり 扉を通り抜けると 胎内のような暗黒の向こうに かすかに照らされている祭壇 そこには三枚続きの宗教画と 天蓋のフレスコ画が ほのかにぼんやり浮かび上がる その薄明かりの中では 十字架や彫像の影が 踊っているかのような 姿を醸…

そびえ立つドゥオーモの鐘楼(フィエーゾレ)

糸杉の林の小道を通り下りて たどりつくドゥオーモの裏側 ファサード側から見たのとは また違う鐘楼の威容 天を指し示すその姿は フィエーゾレの指標そのもの もしこの鐘楼が崩れ落ちれば 町は主を失った孤児の如し

朝の9時 教会から糸杉の森へ(フィエーゾレ)

サン・フランチェスコ教会のファサードは 円窓の下にアーチ型した小型屋根 奥にはフレスコ画まで描かれて 念には念を入れています 冬季は朝の9時に開くと ガイドブックには書いてあったけれど その時間になっても人の気配無く 扉を押しても動きません 慌し…

湧き出でるオリーブ(フィエーゾレの天辺から)

天辺の教会から少し下り もう一度風景を眺めると オリーブがモコモコと湧き出でて トスカーナのCultureを支配する

石の十字架の秘密(フィエーゾレの天辺にて)

広場にぽつんと立っている 日本人の目からすると 灯籠のような謎の碑 小さな石の十字架が そっと飾られている これは教会が再建された記念に加え 20世紀初頭のリビアでの戦争に 従軍したイタリア人に対して 作られたものという さりげない十字架は 植民地…

フィエーゾレ 天辺のロッジア

フィレンツェやシエナと同じように ここフィエーゾレでも見つけた いわゆる開廊という意味を持つ ロッジアと名づけられた狭い空間 決して派手ではないけれど 一応ロッジアとしての形状は備えており ほかより何より優れているのは フィエーゾレの丘の天辺にあ…

冬空のサン・フランチェスコ教会(フィエーゾレ)

展望台から階段を上がっていき 更に達する高い場所 狭い広場がありました ほとんど誰もいない朝 「しん」と静かな冬空の底に サン・フランチェスコ教会の 素朴な姿が浮かびます

展望台のモニュメント②(フィエーゾレ)

展望台に鎮座する もう一つのモニュメント こちらは第一次世界大戦の犠牲になった フィエーゾレの市民に対し 哀悼の意を表するためのものらしい ヨーロッパ各地にある このような慰霊のモニュメント 欧州の人たちにも あまりに多くの犠牲をもたらした 二つの…

展望台のモニュメント(フィエーゾレ)

展望台に設置されていた 不思議なモニュメント 巨大な鉄の指のようなものが 鋭く伸びている このモニュメントは 1944年のナチス侵攻の際に 殺された三人の騎銃兵を悼んで 造られたものだという 戦争の爪痕の象徴である モニュメントの周囲には 穏やかに…

フィエーゾレの展望台から③

真下を見おろせば 丘の斜面の緑の中に 教会の尖塔のような糸杉が 一本、一本、そして二本

フィエーゾレの展望台から②

陽光と雲の何気ない戯れから ほんの少し西に眼を移しただけで フィレンツェの景色は落着きを取り戻し トスカーナの緑の中に埋没する

フィレンツェの幻影図(フィエーゾレの展望台より)

ドゥオーモのファサード前からの きつい傾斜の坂道を えっちらおっちら登っていくと 展望台にたどり着く 雲から差し込む朝日を受けて 丘のみどりの向こうには 薄ぼんやりと浮かび上がる 古都フィレンツェの幻影図

フィエーゾレの地味なドゥオーモ

ミーノ広場でバスを降り すぐそばにあるドゥオーモの姿 もともと1028年に建てられ その後増築繰り返し 今の形となりました フィレンツェやシエナほどの 大がかりなものではないけれど フィエーゾレにはふさわしい 地味で清楚なその姿 細身で控えめな塔が…

フィエーゾレまで登っていくバス

フィレンツェの市営バスは 街の多くの停車場で 人を乗せたり降ろしたりしながら くねくねのんびり進んでいきます せっかちな旅人には まどろっこしくても バスはみんなの大切な足 フィレンツェ郊外から電車で到着し このバスを利用して フィレンツェ市内の …

フィレンツェの母、フィエーゾレへ

短いフィレンツェ滞在の 新年の四日目の朝 とうとう今日が最後の日 午前11時頃には この古都を離れないといけない それでもわずかな時間を利用して フィレンツェ北の丘の町 フィエーゾレ行きを企てる 少しでもトスカーナを見ておきたいという 遠きアジアか…

車窓に沈むトスカーナの黄昏

バスはほぼ満員になって フィレンツェへ向けてひた走ります 曇り空の合間から 時々夕陽が差し込みます 途中の停留所で 前に座っている老女の横に 黙って老女が座ってきます 他人なのかと思いきや いきなり言葉を交わし始めます 途中の少し大きな町で ぐるり…

メディチの憎き要塞(シエナ)

フィレンツェに戻るために シエナのバスターミナルにたどり着く 止まっているバスの表示を見回るが まだフィレンツェ行きのバスは停車していなかった 待ち時間を利用して 公園とスタジアムの間を歩いていくと 大きな要塞の外壁に貼りついた メディチ家の紋章…

おさまりきらない商人のロッジア(シエナ)

再び戻るシエナの中心地 ふと仰ぎ見る フィレンツェにもあったようなロッジア ここのそれは商人のロッジアと呼ばれる もともとは雨の日でも 人々を集合可能ならしめるために 造ったらしいが このスペースで いざというとき商人たちが ちゃんとロッジアの中に…

ピスピーニ門と色とりどりのゴミ箱(シエナ)

重厚な門をくぐりぬけると そこは俗世の幹線道路 車がビュンビュン走っています 左・右、そして左と しっかり見て道を横切り 向かいのビデオレンタル屋らしき所から しっかりカメラを構えます この門の名はピスピーニ門 303年に殉教した聖人の遺骸が ここ…

シエナの謎の頑丈な門

撮った写真を手がかりに いろいろ調べてみた結果 いかにもシエナの通人のように 書き綴ってはいるけれど 実際のところを白状すれば このあたりでは道に迷い 自分がどこにいるのかさえ よくわからなかった とりあえず通りを歩いていくと 眼前に迫る頑丈な門 …

シエナのトライアングル(サン・フランチェスコ教会)

少し向こうの高台に ちっちゃく見える別の教会 これは清貧を重んじた 聖フランチェスコに由来する サン・フランチェスコ教会 少し前に紹介した サン・ドメニコ教会と シエナの南に位置する サンタゴスティーノ教会と共に シエナの主要托鉢修道会の 一派を成…

サント・スピリト教会の丸天井(シエナ)

ユニコーンを意味する レオコルノ地区を過ぎて カンポ広場の形のような 貝殻を象徴とする ニッキオ地区に達する そのピスピーニ通り沿いに建てられた サント・スピリト教会 その丸天井は 巨大なインク壺の如し シエナの土色のインクで この街の歴史を 密かに…

シエナの泉の秘密

シエナの街角で その時は何気なく撮った泉の写真 帰国後写真を見ながら つらつら調べてみると 泉の存在はシエナには大きい意味を持ち なおかつシエナの中世からの地区制度に 深くかかわっている そのため泉を有する地区を象徴する動物を 装飾の中に配置して…

シエナの「白」(サン・マルティーノ教会)

シエナの中心ドゥオーモの表面は 白い大理石で覆われているけれども それ以外は土色の、ゴシック形式の建物が シエナを支配する そんな中でも たまに見かける白いバロック形式 16世紀に造られた サン・マルティーノ教会のファサード 巨大な白鳥のような ド…

シエナの塔とかすかな水色の空

入り組んだ迷路の中に ぽっかりと空いた空間に たどり着いてしまったかのように 再びカンポ広場に舞い戻ります マンジャの塔の背景には 青色までとはいかない 薄い水色をした シエナの冬の空が 雲の間にほんの少し 浮き上がっています

シエナの洗礼堂

ドゥオーモの正面から 後陣に周ると そこにも同じような 大理石のファサード これは14世紀初めに造られた いわゆる洗礼堂の 堂々とした姿 その上部には 教会の丸い窓が ちょこんと顔を覗かせている

シエナ、サンタ・マリア・スカラ救済院内部

切符売り場からさらに中に入ると きれいな美術館のような部屋もある一方 古の病院らしく はがれかけた壁がそのまま残っているような空間もあった 一部はまだ工事中 地下へ下りる階段のあたりでしゃべっている職員 イタリアより地中海を越えて さらに南の方の…

サンティシマ・アンヌンツイアータ教会のフレスコ画(シエナ)

サンタ・マリア・スカラ救済院の中に入り 切符売り場の横に 鮮やかなフレスコ画が描かれた サンティシマ・アンヌンツィアータ教会 地味なファサード、そして地味そうな場所からは 信じられないような 美しく壮大な祭壇 (写真は現地で買った日本語のガイドブ…

シエナのバールからサンタ・マリア・スカラ救済院へ

昼ごはんを食べようと 手軽なバールを覗き込む シエナの人妻風女性二人が店員で 一人は奥の壁を拭いている そして客は 常連客らしいおじいさんだけ なんとなくほっとした気分になり 入り込んで固いパンのサンドイッチと レモンティーを注文する 掃除はしばら…