アーティスト達との秋⑥ 空港出迎え

 二日目は空港出迎えで始まる。
 午前6時に出発するので、朝まだ暗いうちに出発する。
 高速道路を通り空港に向かう。途中、朝の霧が深い。
 空港に到着する。出口付近に行くと、外国人男性から声をかけられる。メキシコから夫婦で日本に旅行に来たが、約束の時間になっても旅行社の迎えが来ないという。しばらく応対し、空港内放送などもしていたようだが、まだ見つかっていないみたいだ。こちらの仕事が無ければ、何か手伝ってあげたかったが、その余裕も無かったのは残念だった。
 この日、迎えに行くのは二人のアーティスト。本来は一人だけの予定だったが、もう一人が二日ほど遅れて、この日に来日することになった。その人は、翌日すぐにステージ本番なので、少し心配になる。そしてその方は、奥様を同伴していると聞いていた。

 出口付近でじぃーと待つ。到着の表示もほぼ予定通りで、特に問題ないのだが、なんとなく落ち着かない。もう一人のスタッフは左側の出口のすぐ前に立ち、ぼくはそれも見つつ右側の出口に注意を払う。
 結局無事3人揃って左側から出てくる。ウェルカムという感じで握手をし、トイレや両替などを確認して車に乗ってもらう。
 車の中で名刺を渡し、自分の街の説明をする。また、片方のアーティストの住んでいるスイスのある街を、ぼくが訪問したときの印象や経験を話す。にこにこして聞いていただいた。またもう一人の方も同じ国の別の街に住んでいて、街の名前を教えてくれたが、あまりぼくがよくわかっていないのを見ると、わざわざつづりを書いて教えてくれた。
 車内では、日本食や日本語などの話をする。一人の方は今回初めての日本訪問で、もう一人の方は結構日本にも来ているらしい。日本や日本語にも詳しく、我々の舌足らずのところを、上手い具合にフォローしてくれている。すしも食べれますよ、というと、好物だそうで、喜んでいただけた。最近ではヨーロッパでもスシレストランは多いが、なにぶんこちらは本場である。