アーティストたちとの秋⑦

 ホテル到着が近くなって来たので、そちらに待機しているスタッフに連絡を取る。片方のアーティストの方がシャワーを浴びたいと言っていたので、その旨を伝えるが、食事の時間の関係で、早くシャワーを済ましてほしいと言われる。シャワーくらい焦らさなくても、と思ったが、口ごたえするわけにもいかず、やむなくそのまま、なるべく早くシャワーを済ましてください、と伝えておく。

 ホテルに到着。チェックインするが、宿泊費の支払い方法や、部屋の鍵の件で、フロントで少し時間がかかってしまい、結局昼食はほかの人とは別に、遅れて行くことになってしまった。ぼくが一番遅れて食事場所まで彼らを随行することになる。
 昼食は普通のサンパなお好み焼き屋さん。ホテルからは遠い分、リハーサル場所にはやや近いところにある。そこで、豚・いか・えびなど、いろいろな種類のお好み焼きを試してもらう。日本がはじめての方もやはり特に抵抗無く食べていた。

 結局、予定時間よりも30分ほど遅れて、バスでリハーサル場所に到着する。ホールの入り口ではドミニクさん(仮名)は、待ちくたびれた様子で座っていた。自由人のドミニクさんは、食事は別だったようだ。まさか昨日リハーサル前に消え、時間に遅れたお返しではないと思うが。
 廊下を歩きながら、二人のうち中国人女性のアーティストは昼寝をしたいと言っていた。かなり昔、北京放送の職員が日本に来ることになったとき、中国で習慣となっている昼寝の習慣が、日本ではないため、昼寝なしの訓練をした、との話を思い出し、「中国の方は昼寝をされないのですか」と聞いてみるが、さすがに今ではすたれたようだった。