天にすっくと伸びる尖塔(シャルトル)

パリ・モンパルナス駅からシャルトルに行く。
春から夏にかけてパリから電車に乗り、特に西のほうに向うと、フランスの平原とそこに生える麦や菜の花の美しさに感動する。ただし季節は限られる。今回はまだ春には少し遠かったようだ。
約1時間ほどして、電車がゆるやかに曲がると、前方にお待ちかねの大聖堂を望む事が出来た
駅で電車を降り、坂道を大聖堂目指して歩いていく。
正面広場に出る。
真正面からの写真を撮ろうとするが、なかなか全体像がカメラにおさまってくれない。ぎりぎりまで下がる。
聖堂内に入る。太陽光が弱く、まだステンドグラスは十分に輝いていない。
狭い螺旋階段で鐘楼に上る。そこから見るもう一つの鐘楼はがっしりたくましく天に突き出している。間近にみる尖塔は迫力がある。鐘楼の別の面からは駅や今来た線路、更にのんびり広い平原を眺めることができる。
降りて旧市街の狭い道を抜け、昔の城門の跡があるところまで降りてくる。そこからの大聖堂の眺めもよい。川沿いにのんびり散策する。
もう一つの見所、ピカシェットの家にも行ってみる。
車の多い幹線道路に出て、普通の住宅街を歩いていく。少しわかりにくかったが、表示があったのでなんとかたどり着く。
若い学生のグループもいた。中は小さい装飾された家であまり面白くなかった。しかし、後で撮った写真を見ると、意外とあざやかだった。
再び旧市街に戻り、美術館に入る。ヴラマンクの絵の具をべちゃーと塗りたくった冬の道の絵が面白い。
また大聖堂のご当地だけあってそれを扱った絵が印象に残る。一つは火事の大聖堂、もう一つは夕焼けの中で羊の群れと描かれているものだった。
美術館を出、もう一度大聖堂に戻る、曇りで、ステンドグラスがあまり輝いてくれなかったのが残念だった。
シャルトルに行ってから数年後、「須賀敦子のフランス」(河出書房新社)での写真と記述、および須賀のエッセイ集「ヴェネツィアの宿」(白水Uブックス)の「大聖堂まで」を読み感動する。強い願いをもち大聖堂を訪ねた須賀たちの気持ちを思うと切なくてしょうがない。もし今後シャルトルを訪れる機会がある方には、ぜひ前もって読んでほしい本である。
と、偉そうに書いてる自分は、強い精神のよりどころを探していたわけで無く、のんびり、ぼんやりと訪れただけだったが。
シャルトルを離れ、モンパルナスに戻る。