ピサロの跡を訪ねて(ポントワーズ)

パリサンラザール駅からポントワーズに行く。
ポントワーズは二度目である。前回はオーヴェルスールロワーズでのソワレを早引きし、パリへの帰りにポントワーズに寄り、駅前のレストランで晩御飯を食べ、ビールを痛飲した。夜10時発でパリに帰ったのだが、同行の方がいたとはいえ、郊外(バンリュー)電車の中は心細かった。パリに近づき、ライトアップされたエッフェル塔を見てほっとした思い出がある。
今回は明るいうちに帰ろう。
駅を降り、まずピサロ美術館をめざす。駅前の地図でおおよその目安をつける。古い住宅街の狭い道を上っていく。丘の上の公園にある小さい建物がその美術館だった。
中に入る。受付におじさんが一人いる。4部屋くらいしかない。ピサロの作品は素描などしかなかったように思える。その他ではドービニーなどの絵があったように思う。ここに主要な絵を飾るのは、予算や盗難などの問題で難しいのだろう。
一通り鑑賞し、帰りにポントワーズの風景をモチーフにした絵や、ヴァルドワーズ県所有のモネの絵の絵葉書を買う。
公園にはさまざまな植物が、きちんと手入れされている。説明のパネルでは目の不自由な方でもわかるよう、点字による説明文や見取り図なども備え付けられていた。
公園からは街全体やロワーズ川が見える。
美術館から、ピサロの多くの絵の題材になったエルミタージュ地区に向う。
いまや普通の住宅街で、観光地化されていない。それでもポントワーズ市などにより5点の絵画の場所がわかるようなパネルを作ってくれていた。仏・英・そしてわが日本語による説明文があったのはたいへん有難いことだ。
まず住宅街の坂を登り、少しわきの田舎道に入る。実際の絵の場所を特定する事はできなかったが、それでも昔の農村の風景が残っていた。
坂を降り、「赤い屋根」の場所に行く。その場所に至るまでの道は普通にアスファルトで舗装されていたが、屋根の形自体は同じだった。
ひととおりエルミタージュ地区をさまよう。その後街の中心地にある聖堂にも立ち寄り、駅にくだっていった。