パリのスーペルマルシェ

自分がパリにいたとき、一番よく行ったのが、モノプリという名のスーペルマルシェ(スーパーマーケット)だった。
理由は単に下宿のあるアパルトマンの1階にあったから、だった。
広さは郊外店の様に大きくなかったが、街中ではまあまあのサイズだと思う。
入り口を入ると、右手にパン屋さんがあった。
当初、カモシカのような細くてきれいな女の子がいて、その子に会うのが楽しみだった。
しかしいつしかその子はいなくなり、メガネをかけた、白人でなおかつ色が白い、アニメ好きそうな(フランスもオタクは多い)若い男が売り子になったので残念だった。
それでもここのバゲットは、夕方でも焼きたてが食べれるのが嬉しかった。
紙を真ん中あたりに巻いただけの、温かいバゲット半分を買う。
下宿に入るまで、ついつい一口かじってしまったものだった。
 
スーペルマルシェのレジの人たちはみんな無愛想な人ばかりだった。
みんな「アメリ」のカフェのタバコ売りのところにいるおばさんみたいだといってもいい。
一応、ボンジュールと言うように指導はされているのだろうが、言い方もぶっきらぼうで、冷たかった。
しかしそれにも慣れてしまっていたのだろう。
日本に帰った時、コンビニでやたら「いらっしゃいませ」と言われた時「そんなに言わなくてもいいよ」と思ったくらいだった。

レジ係は、女性の方が多かったが、少しは男性もいた。
また、一時ゲイらしき男がいたのはパリらしい。なんせ市長さえもゲイという街だから。
以前日本でもはやった陽気なハードゲイでなく、短髪でメガネをかけた「ソフトゲイ」という感じだった。
差別したわけではないのだが、その人の列はなんとなく避けていたのだが、かといって混んでいる列にいくと、そのレジのおばさんに「あっちがあいているじゃない」と叱られてしまった。
仕方なく、そのゲイの人のレジに行くと、自分の前の人の分もあわせて、レジを打たれたことがあった。
「アラアラ、どうしようかしら」という感じで、慌ててチーフマネージャーらしき人を呼んでいるがなかなか出てこない。
少し待たされて、やっとマネージャーが出てきて、レジをテケテケやり、無事直った。
そこに居づらかったのは言うまでもない。
 
(この拙文は、さる協会の会報に載せていただきました。編集の皆様に感謝申し上げます)