フランス文化55のキーワード

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世界文化シリーズ2
フランス文化55のキーワード
朝比奈美知子・横山安由美 編著
2011年4月30日 初版第1刷発行
ミネルヴァ書房 発行

フランス文化の55のキーワードを、歴史・フランス的精神・芸術・生活・現代社会・パリ・さまざまな地方、の七つの章に分けて解説しています。

さまざまな国の人が乗った客船が沈没しそうになった時、客を海に飛び込ませるにはこう言えばよい。
イタリア人には「美女が泳いでますよ」
ドイツ人には「規則なので飛び込んでください」
アメリカ人には「飛び込んだあなたはヒーローですよ」
日本人には「皆さん飛び込んでますよ」
そしてフランス人には「飛び込んでください」とフランス語で伝える。あるいは
「飛び込まないでください」というもの。
二つのフランス人気質。何よりも自分たちの国や言葉を愛する気持ち、そして自由や反骨を尊ぶ精神。

二つのフランス精神
一つは社会のエリート階級に由来する「宮廷精神」
物腰が丁寧で、優雅で洗練されたフランス人
もう一つは民衆起源のもので「ガリア精神」
あけすけでからかい好きなフランス人
そしてフランス人は言葉へのこだわりが強くておしゃべり好き
宮廷精神だと洗練された会話術や気取った言語表現
ガリア精神だと下品な冗談に対する嗜好や辛辣な悪態の応酬。悪態には他人に対する攻撃性がある。
(それがシャルリーエブドとかの精神の根源かもしれない)

パリの日本人向け情報誌のエッセイより
ヴァカンスで訪れた海辺で知り合ったフランス人に職業を尋ねたら、「失業者」と答えた。
フランス人にとってヴァカンスは人生の中で大きな割合を占めている。

フランスの教育制度を何よりも特徴づけるのはグラン・ゼコールと呼ばれるエリート養成校
その一方、革命期に打ち立てられた、教育の機会はすべての人に開かれるべき、という平等教育
エリート教育と平等教育という相容れない教育理念が併存しつつ今日に至っている。

パリの魅力はその多様性にある
古代ギリシャ・ローマ文化を継承しながら近代都市として劇的な変貌を経験し、聖と俗、高尚な芸術文化と俗悪で猥雑なもの、日々の生の活力と死者の追憶といった相反するものを内包する類いまれな多様性が、この都市を世界の首都として発展させてきた。

パリのメトロの一番線が開通したのは1900年。パリ万博に合わせて。
建設当初は、地上を高架で走らせる案と地下に線路を敷設する案とで対立していた。
結局、地下の危険さよりも、都市の景観を乱すということで地上案は退けられたが、今でも一部線路が地上に出て、高架を車両が走っている。
植物を模したアール・ヌーヴォ様式の入り口は、利用者の不安を和らげる効果もあったのであろう。

パリの中心部の区にも想像以上に人が住んでいる。というのも、建物の路面階には店や事務所が入っており、その上の階には住居がある、という場合が多い。
(自分が住んでいたアパルトマンの路面階はスーペルマルシェでした)

日本のマンガはフランスでも人気が高い
ただし「ドラえもん」だけはなぜか人気がない。
のび太の他力本願で主体性のない性格が主人公として受け入れがたい、というのが理由らしい。