ローマ人の物語ⅩⅤ 最後のローマ人スティリコ

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ローマ人の物語
ローマ世界の終焉
塩野七生 著
新潮社
2006年12月15日 発行

紀元395年、皇帝テオドシウスの死により、彼は息子二人を将軍のスティリコに託した。
スティリコは、蛮族出身というハンディキャップにも関わらず、テオドシウスに見出され、後継ぎの息子の後見人となったのである。
その機に乗じての、西ゴート族の侵入。それを撃破するスティリコ。
更に北アフリカの反乱。地中海が「我らが海」ではなく、敵と見方に分かつ海になりゆく前兆。
再度のアラリック率いる西ゴート族の侵入。再び防御するスティリコ。
ローマ全体の不安。ガリアを捨て、新しい防衛体制を築く。
しかし新たな侵略の波、東ゴート族の進出。再度これも撃破するスティリコ。

皇帝とその周辺はオリエントの専制君主のように贅沢になり、高位高官も蓄財に走り、司教も派手な生活になる時代、公正なリーダーとしての威厳を保つスティリコ。
しかしスティリコ派に対する皇帝軍による粛清。
ローマ人として、自己の破滅を覚悟して皇帝テオドシウスとの誓約を守るか、それとも蛮族として反抗するか。
現皇帝のホノリウスに賭けるスティリコ。
しかし結果は彼の斬首刑で終わった。
ホノリウスが決めた唯一のことが、忠臣の処刑だった。

スティリコがいなくなったローマ、蛮族が蹂躙するままとなる。
410年の「ローマ劫掠」
世界の女王であり、神々の母であり、優れた男たちの母であったローマが、廃墟となりつつあるのであった。