フレデリック・フォーサイス 著 アウトサイダー(読者メモ)

フォーサイスの父。若い頃イギリスからマラヤに行きゴム農園に職を得る。
そこで村在住の大工の日本人夫婦の息子の命を救う。
後日お礼に来たその日本人。貧乏でお礼するものが無いので助言を行う。それはマラヤを出て下さいというもの。
その助言が理由だったのかはわからないが、結局イギリスに帰国する父。
その後日本軍はマラヤに侵攻する。そして父の知り合いで日本軍捕虜収容所から生きて故国に帰れた人は一人もいなかった。
日本軍のマラヤ侵攻には多数の休眠工作員が出動した。その日本人大工がそうだったのかはわからないが、父が捕虜になったら間違いなく死んでいた。
イギリスに帰国した後結婚し、フレデリックが生をうける。それは日本人大工の感謝の言葉のおかげかもしれない。

十代の頃、フランスをヒッチハイクするフォーサイス。北フランスではノルマンディーから上陸し、フランス解放を果たした中にイギリスが参加していたこともはっきり覚えていた。よってイギリス国旗のワッペンがヒッチハイクに役立った。
しかし南仏ではイギリス国旗のご利益はもうなかった。
南仏は占領されず、ナチス・ドイツにせっせと協力したヴィシー政権の一部だった。
1944年の連合国軍の上陸も、解放というより攻撃と受けとめられた。

ロイター通信のパリ支局で働くフォーサイスさん
ドゴールがエリゼ宮を出るたびにあとを追うという仕事を割り当てられる。
警護員の話を聞いたり、大統領を何重にも取り巻く警備の輪を見るたびするうちに、OAS(ドゴール暗殺を狙う秘密軍事組織)による暗殺は成功しないだろうと徐々に確信するようになった。
というのもメンバーの顔写真や指紋や経歴をかなり網羅的にリストアップしたファイルがあるのに加えて、OASには防諜部員がかなり多数潜入しており、4人のメンバーが密談すればたちまち中身が防諜部に知れる。その内一人が防諜部員だから。
よって大統領暗殺のためには全くのアウトサイダー、つまりフランス政府に知られていないプロの暗殺者を雇うことだけだ、と。
それが後にジャッカルの日の暗殺者像につながっていく。

バーティー・ウースター・モードに入る技を会得したフォーサイスさん。
バーティー・ウースターというのは、ユーモア作家P・Gウッドハウスジーヴズ物に登場する貴族。
善良で愛想がいいが、頼りなくて、おつむがいいとはいえない人物。
これによって幾多のピンチから救ってくれた。
ヨーロッパ大陸の諸君はイギリス人旅行者を人畜無害なお馬鹿さんと思いたがる傾向があるので、それを利用したわけ。p128