ボルゴの火災(火災の間、ラファエッロの間)

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ラファエッロの間の「署名の間」から「火災の間」に移ります。
この部屋名の由来は、この画像の絵画「ボルゴの火災」に由来します。
この部屋の四面の絵の内、この絵がラファエッロ自身の手が最も関わっており、残りの絵はラファエッロの下絵だけで、実際の作業は工房によるものだった、ともいわれます。
 
この絵は、847年ヴァティカンに隣接するボルゴ地区で火災が発生した時、ヴァティカンの宮殿のバルコニーに現われたローマ教皇レオ4世が、奇跡の力で日を鎮めたという伝説にしたがっています。
その教皇は、一番奥になっており、その一方火災に苦しむ人々が前面に押し出されているのは、本来は教皇を目立たせるという絵の意図に反しており、興味深いところです。
 
火災から逃げ惑う人々も、一人ひとりのそれぞれの動きをしっかりと表現しています。
左側の老人を背負う若者は、ヴェルギリウス叙事詩「アエネイス」の中で、父を背負い息子を連れて逃げる一場面だそうです。
あと壁にぶら下がって降りる裸の男には、明らかにミケランジェロの影響を感じることができます。